新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの働き方は大幅に変わりました。代表的な働き方としてはテレワークやワーケーションが挙げられますが、それらの働き方の浸透に伴い、社員間のコミュニケーション不足が新たな課題として問題視されています。そして、このコミュニケーション不足に対する課題解決の手法として期待されているのがオフサイトミーティングです。
本日はオフサイトミーティングの基本的な説明と、オフサイトミーティングを実施する上での施設の選定等について解説します。
オフサイトミーティングとは、職場から離れた場所や環境で会議を行うことを意味します。しかし、実態としては会議の実施に留まらず、新人研修やチームビルディングのためのレクリエーションなど、幅広い用途を目的としてオフサイトミーティングが開かれています。
会社から離れた場所で、立場や役職にとらわれることなく意見を交わし、コミュニケーションを深めることで、従業員間の距離を縮め、企業が抱えるコミュニケーション課題を解決する方法として、オフサイトミーティングが期待されています。
オフサイトミーティングは、会社やチームの課題に対して、それぞれの立場から自由に発言できる場所です。普段だと役職等を気にして発言できない人も、オフサイトミーティングであれば意見が出しやすいため、メンバーの意外な一面が見えるなど、お互いのことをよく知るきっかけとなります。また、レクリエーションが含まれている場合は、メンバー同士の親睦を深める絶好の機会となります。
オフサイトミーティングではいつもと違う環境ゆえに発想が柔軟になりやすく、斬新なアイデアが生まれやすい傾向にあります。また、マネジメントと現場の双方の意見が交わされることで新しい解決方法に結びつくなど、普段のオフィスやテレビ会議での打ち合わせと比べて良い成果を得ることが期待できます。
オフサイトミーティングでは、日常の実務を切り離し、議論に集中することができるため、普段十分に協議できていない事柄について深堀して話し合うことができます。経営層が定期的に経営会議を行うのは業務に集中するためであり、同様のメリットがチーム合宿などでも発揮されます。
ミ―ディングに参加する場合、現場や日常の勤務場所から長く席を空けることになるので、その間の業務調整が必要になります。また、参加者の同僚に対しても、参加者の業務をカバーする等の影響が発生します。
さらに、オフサイトミーティングの企画者にとっては、参加者の日程調整や場所の選定、確保など、多大な業務負荷が発生します。
オフサイトミーティングは社外で実施するため、移動費用や会議室代が発生します。また、宿泊が伴う場合は、宿泊費用も発生します。その他にも飲食費用などが発生することが多く、通常の会議と比較して追加コストが必要になります。
オフサイトミーティングは様々な意見が飛び交うため、しっかりと目的を持って議事を進行しないと話がまとまらず、ただの雑談の場となってしまう恐れがあります。そのため、企画者は目的と議事を明確にして参加者に事前共有することはもちろん、当日のタイムキーパーとして会議のファシリテーションを行うことが求められます。
最初に行うべきはミーティングの趣旨を明確にすることです。課題解決のための会議なのか、チームビルディングを目的としたイベントなのかなど、会議で達成したい事柄を明確にしましょう。
目的が定まれば、参加者の抽出も容易になります。ただし、参加者が増えれば増えるほど、日程調整は大変になるため、多くても10名から15名程度で実施するのが良いでしょう。なお、日程を決める場合は上司のスケジュールから確認するとスムーズです。
目的と参加者が決まったら、オフサイトミーティングのコンテンツ(議題)を決定しましょう。
会議のみを行うのか、レクリエーションも含めて実施するのかは目的によります。また、会議に関して、グループ単位にするのか、個々人に意見を求めるのかなど会議体の在り方によってタイムテーブルや必要になる備品・設備も変わってきます。それゆえ、この段階でオフサイトミーティングの大枠を決定するのが望ましいです。
コンテンツが決まれば、必要な設備や備品が定まるため、施設の選定が容易になります。あとは、日程に基づき、会場を決定しましょう。
また、宿泊が伴う場合は、一部屋に何名が宿泊するかなどもこの段階で整理する必要があります。
施設が決定したら、アジェンダの詳細を詰めたうえで、オフサイトミーティングの概要書を作成し、参加者に共有します。その際、事前に考えてきてほしいことがあれば、その点も触れておきましょう。
オフサイトミーティング当日は、先に作成した概要書に記載されているタイムスケジュールを意識しつつも、それにとらわれることなく実施するのが良いでしょう。その理由としては、事前のタイムテーブルに縛られすぎると、メンバーから自由な発想が生まれたときに、その話を拾いきれない可能性があるためです。議論が活発になっているときは、全体の目的は意識しつつも柔軟に進行することを心がけましょう。
ここでは近郊ではなく、一定の移動を伴うオフサイトミーティングを前提とした施設の選び方について解説します。
施設の場所は、日程に基づき決定しましょう。なお、参加者に途中参加や途中退出する可能性のあるメンバーがいる場合は、会場から電車や空港まで移動しやすい場所を選びましょう。
続いては予算です。一名あたりの予算を決めて、その予算から移動費用や諸経費を除いた数値が施設に充当可能な予算となります。この予算をもとに施設を決定しましょう。
オフサイトミーティング専用スペースであれば様々な設備が整っていますが、一般的なホテル等では備品が充実していないケースもあります。利用する会議スペースの備品を確認したうえで、自社で用意するものを把握しましょう。
また、オフサイトミーティングでは、休憩時間やミーティング終了後に日常業務を行うメンバーもいます。そういったメンバーが作業できるよう施設のインターネット環境をチェックしましょう。
最近は、地方にもワーケーション施設が増えており、それらの施設の多くは、リラックススペースと会議スペースを兼ね備えています。企業単位で一棟借りられるケースもあり、そういった施設を活用すれば、備品などの用意が減り、オフサイトミーティングにおける手配の手間は格段に軽減します。
例えば、三菱地所ではWork×Actionをテーマに様々なエリアにグループワーケーションサイトを提供しています。
続いての選択肢は、会議室を備えた宿泊施設を利用するパターンです。このケースもオフサイトミーティング専用施設を利用する場合と同様、移動や会場探索の手間は減りますが、ホテルの会議室の仕様によっては、コンテンツに沿ったミーティングが開催できない場合もあるので注意しましょう。また、宿泊施設と会議室の予約担当が分かれているケースもあり、その場合は、予約の手間軽減にはつながりません。
最後は宿泊施設と会議室を分けて予約するパターンです。会議室の選択肢が広がるため、思い通りのミーティングが開催できるメリットがありますが、施設間の移動が発生するなど、行程検討の負荷が増えます。
宿泊施設の選び方が気になる方はこちらをクリック。
企画者を中心に社内メンバーが施設を探索し、予約するパターンです。社内の細かい要望を含め柔軟に対応できますが、施設の探索や施設との調整などに多大な業務負荷を要します。
旅行会社に依頼することで施設の設備確認や空室状況など、施設側との調整の手間を省略することが可能です。ただし、手配手数料が発生するため、オンライン予約サイトを通じて自身で予約するよりもコスト高になる可能性があります。
最近はオフサイトミーティング専用の支援サービスもあります。そういったサービスを活用すると、最適な施設の選定からオフサイトミーティングにおけるサイドイベントの情報提供や企画代行も対応してくれます。費用の負荷は一定発生しますが、人手不足で企画者不在の場合などは利用してみてもよいでしょう。
参考:コワーケーション.com
テレワークが進む中、オフサイトミーティングはこれから需要の高まりが予想されています。とはいえ、頻度はそれほど多くないため、ノウハウは蓄積しにくいので任せる部分はプロに任せ、オフサイトミーティングのパフォーマンスを高めることに集中するのが良いでしょう。