平和と経済の関係性を分析する国際機関「INSTITUTE FOR ECONOMICS & PEACE」がGLOBAL TERRORISM INDEX 2017を公表しました。
同資料はこちらからダウンロード可能です。
同資料の中から日本のビジネスパーソンに関係性の高い箇所を要約します。
今回は、2016年における国際テロの総覧です。
2016年度のテロによる死者の数は、ピークであった2014年と比較すると22%減少
上図は、2000年以降のテロによる犠牲者数の推移です。9.11以降大幅に増加傾向にありましたが、直近は2014年をピークに減少傾向にあります。
なお、2016年の年間犠牲者数は、25,673名と発表されています。
上位10ヵ国を除いた各国でのテロ死亡者数は全体の13.5%。
続いて、国ごとの犠牲者数を見てみましょう。上図はテロによる犠牲者の多い国の上位10ヵ国です。図を見ると、中東やアフリカの国が並んでいることがわかります。ビジネスで渡航する場合は最大限の警戒が必要と言えるでしょう。
なお、上位10ヵ国は全体の86.5%を占めており、それ以外の国における犠牲者数は3,465名となります。
OECD諸国における一般市民を対象としたテロの件数・死亡者数は増加
それでは皆さんの主要出張国であるエリアは安全性が上がったのでしょうか。統計データを見る限り、必ずしもそうとは言い切れません。上図はOECD諸国におけるテロの件数と死亡者数を表したものです。図を見ると、市民(Civilians)を対象としたテロ件数は、ピークと言われた2014年以降も増加していることがわかります。
このことから海外への業務渡航が多い企業にとって、出張者の安全管理はますます重要になってくると言えるでしょう。
OECD諸国で最もテロの犠牲者が多いのはイギリス
最後にOECD諸国の中でテロの件数が多い国を見てみましょう。結果を見ると、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスなど、日本人の出張が多い国が並んでいます。
9.11の事件以降、テロの件数は著しく増加していますが、近年はそれらに加え、一般市民を対象としたテロが増えています。これまで安全と思われていた国においてもテロの件数が増えていることから、海外への業務渡航において、これまで以上に危機管理の重要性が高まってくると思われます。
次回はテロが与える経済への影響についてお伝えします。