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タイへの出張に際しては、ビザが必要か否かなどの確認を行う方が多いです。2025年現在、タイ政府は日本人出張者向けに30日以内の短期商用渡航ならビザ取得を免除する特別措置を導入していますが、業務内容や滞在期間によっては事前申請が必須となるケースも少なくありません。
本記事では、タイに出張する際に「ビザは必要か?」という疑問を解決するため、最新の制度や申請方法・実務上の注意点を具体的に解説します。企業の管理部門や社員が効率的かつ安心して渡航準備を進められる知識をまとめていますので、ご自身の計画や社内オペレーションにぜひご活用ください。
もくじ
タイへの出張を計画する際、「ビザは必要なのか?」という質問は多くのビジネスパーソンや担当管理者が最初に確認すべきポイントです。日本とタイは長年にわたり強い経済関係を築いており、短期の商談や会議出席で訪れる日本人も多くいます。ここでは、2025年時点でのビザ要否や入国条件を整理して解説します。
日本国籍の方は、観光や短期のビジネス目的で30日以内の滞在であれば、ビザを取得せずに入国できます。これは「ビザ免除制度(Visa Exemption)」によるもので、以下の条件を満たす必要があります。
この制度を利用することで、短期的な業務出張(クライアント訪問や展示会視察など)はビザなしで可能です。ただし、「報酬を伴う就労」や「現地法人での業務支援」など実働を行う場合は、Non-Immigrant Bビザが必要になります。
タイへの渡航は滞在する日数や目的によって異なります。日数・目的ごとの、ビザの要否や必要なビザタイプについて早見表を作成しました。是非、ご参考になさってください。
| 滞在目的・日数 | 必要なビザ | 主な条件・注意点 |
|---|---|---|
| 30日以内(観光・商談・会議など) | 不要(ビザ免除) | 復路航空券・滞在資金が必要 |
| 31〜90日程度(研修・業務支援・駐在準備など) | Non-Immigrant Bビザ(ビジネスビザ) | 招聘企業からの書類が必須 |
| 90日超の長期滞在・勤務 | Non-Immigrant Bビザ+ワークパーミット | 現地企業との雇用契約・労働許可証が必要 |
| 短期出張の延長(30日超過) | 滞在延長申請(Immigration Office) | 通常1回30日まで延長可能 |
短期ビジネス渡航では、「活動内容」がビザ要否を分ける重要な基準です。たとえ30日以内でも「現場での技術支援」「研修講師」など実質的な業務を行う場合は、事前にビジネスビザ取得を検討しましょう。
タイでは、観光目的以外の滞在には明確な活動区分が定められています。短期の商談から長期の駐在まで、活動内容によって取得すべきビザが異なります。ここでは、代表的なノンイミグラントBビザ(Non-Immigrant Visa B)を中心に、ビジネス目的の滞在で注意すべき点を解説します。
ノンイミグラントBビザは、商談・技術支援・就労・駐在など、ビジネス関連の活動を行う日本人に発給される主要なビザです。主な特徴は以下の通りです。
申請には、招聘企業や現地法人からの正式な招へい書類、会社登記簿、就業予定証明書などが求められます。特に、技術指導やトレーニングを目的とする短期渡航でも、業務実施に該当する場合はこのビザが必要です。
出張者が混同しやすいのが、「会議参加・商談」と「就労活動」の線引きです。タイでは、報酬を伴わない短期業務や商談・視察・研修参加はビザ免除の範囲内ですが、以下のような行為が含まれる場合は就労と見なされます。
これらは「業務遂行」と判断され、原則としてNon-Immigrant Bビザ及びワークパーミットが必須です。企業側が「単なる出張」と誤認して派遣すると、現地イミグレーションで指摘を受けるケースもあるため注意が必要です。
タイに3か月以上滞在し、現地法人で継続的に業務を行う場合は、下記の長期ビザ区分が利用されます。
| ビザの種類 | 対象者 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Non-Immigrant B(就労・駐在) | 現地法人勤務、技術者、管理職 | 労働許可証必須、最長1年の在留許可 |
| Non-Immigrant O(家族帯同など) | 駐在員の家族 | タイでの就労不可、滞在許可はBビザに連動 |
| SMART Visa | 特定分野の専門家・投資家 | 最大4年間有効、ワークパーミット不要の場合あり |
特にSMARTビザは近年注目されており、IT・製造・研究開発などの専門分野で活動する高度人材向け制度です。滞在期間や更新の手間が少なく、外国企業の長期派遣にも適しています。

タイ出張や駐在のためにビジネスビザを取得する際は、申請先・書類・オンライン手続きの流れを正確に把握しておくことが重要です。2025年現在、タイ政府はe-Visa制度を導入しており、申請から受領までをオンラインで完結できます。ここでは、手続きの実際を3つのステップに分けて解説します。
タイのビザ申請は、以下のいずれかで行うことができます。
申請者の居住地または勤務先所在地に応じて対応窓口が決まりますが、現在は両機関ともオンライン申請(e-Visa)専用受付に統一されています。
手続きの基本的な流れは次の通りです。
電子ビザは印刷して携帯する必要がありますが、入国審査ではデジタル提示でも有効です。
ビジネスビザを申請する場合、本人のみならずタイ側の招聘企業および日本側の派遣企業の協力が必要です。以下は、一般的な申請に必要な書類の一覧です。
これらの書類はすべて英語またはタイ語で作成するのが原則です。特に招聘状の内容(滞在目的・期間・責任者の署名)は審査で重視されます。
e-Visa公式サイトは、日本国籍者専用のオンライン申請ポータルです。以下のポイントを押さえておくことで、審査をスムーズに進められます。
電子ビザの発行は通常5〜10営業日で完了します。発給後は、入国審査時に提示し、パスポートにスタンプが押印されることで正式な入国許可となります。
出張日程の変更や現地での商談延長などにより、当初予定よりも長く滞在するケースは少なくありません。タイでは滞在期間を延長するための正式な手続きが用意されていますが、所定の条件を守らないとオーバーステイ(不法滞在)と見なされ、罰金や入国制限の対象となります。また、複数回の短期出張を予定している場合は、マルチプルビザの活用が効率的です。
ビザ免除で30日入国した場合でも、必要に応じてさらに滞在を30日間延長することが可能です。延長はタイ国内のイミグレーション・オフィス(Immigration Bureau)で申請します。
延長申請の基本情報
審査は通常当日完了し、許可されればパスポートに30日延長のスタンプが押されます。
注意点
短期の出張延長は比較的容易ですが、定期的な長期出張や業務サポートを目的とする場合は、事前に中長期ビザへの切り替えを検討すべきです。
タイへ複数回のビジネス出張を予定している企業には、「マルチプルエントリビザ(Multiple Entry Visa)」の取得が有効です。
マルチプルビザの特徴
利用時の注意点
また、従来のようにパスポートにスタンプを押す代わりに、e-Visa利用者は電子データで入出国履歴が記録されます。出張管理部門は、電子PDFビザと渡航履歴をセットで保管しておくとコンプライアンス上も安心です。
タイへの入国時には、イミグレーション(入国審査)で渡航目的や滞在条件について質問を受けたり、各種書類の提示が求められます。また、現地での業務内容によってはワークパーミットの取得が必要となり、健康関連の提出書類も状況によって異なるため、事前準備が不可欠です。
必要書類としては、パスポートはもちろん、ビザの承認書や招待状、入国カード(TDAC/TM.6)等が必須となります。
タイで報酬を伴う「業務」に従事する場合、ビザだけではなくワークパーミット(労働許可証)の取得が必須です。
短期出張で単なる会議参加や商談のみの場合は不要ですが、現地で働く場合は違反すると罰則(罰金・強制退去)対象となります。駐在・長期派遣の場合は、必ずBビザとワークパーミットの両方が必要です。
2025年時点、日本からの渡航者には新型コロナワクチン接種証明書も陰性証明書も不要となっています。ただし、タイ保健・入国管理が指定する「黄熱病流行国」や「エムポックス(痘瘡類)リスク国」からの入国の場合は健康申告書(T.8)や予防接種証明等の追加書類が必要です。
健康関連確認は今後状況により変更の可能性もあるため、出張前にタイ保健省公式サイトや航空会社情報を再確認することが推奨です。
「30日以内の短期商用目的(会議・打ち合わせ・視察)」の場合、日本国籍者は商用ビザ免除制度によりビザ不要でタイへ渡航できます。この制度は2024年1月1日~2026年12月31日までの期間限定です。
ただし、現地でのインターンシップ・実働・報酬受領などはビザが必要となるため、該当する場合はNon-Immigrant Bビザ+ワークパーミット取得が必須です。
商用目的の場合でも、タイ側の会社からの招聘状や会議予約書など証明書類の準備が重要です。入国時に提示できるよう事前発行を依頼してください。
社員をタイへ派遣する際は、以下の点を事前チェックしておくことでトラブルを防げます。
このリストをベースに「出張命令書」「業務内容確認書」も社内で発行し、社員にも内容を共有しておきましょう。
複数国を巡回するビジネスパーソンは、タイ出国後に再びタイへ入国する場合「マルチプルエントリビザ(Multiple Entry Visa)」の利用が推奨されます。
再入国でも「商用ビザ免除制度」が適用されますが、出発地が日本以外の場合は別途健康関連書類が必要になることもあります。渡航前に再入国回数や期間、必要書類の管理を徹底してください。
滞在日数と目的の確認
30日以内の「会議・商談・視察」は商用ビザ免除で渡航可能。31日以上の滞在や現地就労・インターンはビザが必須。
必要書類の用意
パスポート(残存期間6か月以上)、往復航空券、滞在先の証明、タイ側の「招聘状」「会合予約書」等、商用目的であることを証明できる書類を準備。
ビザ申請手続き
商用目的でも31日以上、または就労の場合は「ノンイミグラントBビザ」をオンライン申請(e-Visa)し、労働許可証(ワークパーミット)も必要に応じて取得。
再入国時の注意点
複数回の訪問は「マルチプルエントリビザ」取得でリスク管理。再入国時にはTDAC(デジタル到着カード)の再登録を忘れずに。
健康・入国管理規定の最新確認
2025年現在、日本出発のみなら健康証明は原則不要だが、タイ政府や航空会社の案内を都度確認。
社内連絡体制・緊急連絡先の整備
万一の滞在延長やトラブルに備えて、企業とタイ現地法人・受入先、手続きを一元管理できる連絡体制を持つことも推奨されます。
このリストをもとに、タイ出張のリスク回避・効率的な手続き管理を行いましょう。最新の制度変更・入国管理規定は渡航前に必ず再確認し、確実な準備を整えてください。
在東京タイ王国大使館
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