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【インボイス×旅行代理店】出張手配におけるインボイス制度対応を解説
投稿日:2023.01.16 / 最終更新日:2024.01.18

【インボイス×旅行代理店】出張手配におけるインボイス制度対応を解説

出張手配におけるインボイス制度の影響を知りたいかたは下記をクリックすることで該当箇所に移動します。

出張手配におけるインボイス制度の影響

インボイス制度とは

インボイス制度とは、適格請求書と呼ばれるインボイスを用いることで消費税の仕入税額控除を受けるための制度であり、2023年10月1日より導入予定です。

国税庁のインボイス制度特集ページ

インボイス制度の正式名称は、「適格請求書等保存方式」といい、下記の要件を満たした請求書や納品書を交付・保存する必要があります。国税庁で紹介されている請求書のサンプルと記載情報を対応付けしたイメージ図は紹介します。

インボイス制度に伴う請求書の変更点
  • ①適格請求書発行事業者の氏名または名称・登録番号
  • ②取引年月日
  • ③取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
  • ④税率ごとに区分して合計した対価の額
  • ⑤税率ごとに区分して合計した対価の消費税額
  • ⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

【出典】国税庁「(令和4年7月改訂)消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます」

インボイス制度導入の背景

インボイス制度導入の背景にあるのは、2019年10月1日から消費税が引き上げられた際に導入された軽減税率です。2019年10月1日の消費税率の8%から10%への引き上げに伴い、食料品などに対し軽減税率が導入されました。2つの税率が平行して運用されているなか、どの取引や商品に、どちらの税率が適用されているかを明確にする必要が生じ、適格請求書保存方式の採用が決まりました。

インボイス制度を利用するための登録方法

インボイス制度導入のためのステップは、課税事業者・免税事業者によって異なります。以下では、それぞれに分けて説明します。

課税事業者のインボイス制度を利用するための登録方法

前述の通り、インボイスを発行するためには、適格請求書発行事業者になる必要があります。適格請求書発行事業者の登録申請書を税務署に提出します。インボイス制度は2023年10月1に開始されるため、開始段階で利用するためには、2023年3月31日までに登録申請書を税務署に提出する必要があります。登録申請書の提出は2021年10月1日から可能です。

インボイス制度の登録スケジュール

免税事業者のインボイス制度を利用するための登録方法

インボイスを発行できる適格請求書発行事業者になるためには、課税事業者である必要があります。そのため、免税事業者は課税事業者になるための消費税課税事業者選択届が必要です。なお、適格請求書発行事業者になると、年間の売上高が1,000万円以下であっても免税事業者にはならず、消費税の申告義務が生じます。

なお、インボイス制度の登録方法については、国税庁の登録登録申請書の書き方 フローチャートが参考になります。

インボイス制度を適用した場合の業務への影響

インボイス制度開始により、適格請求書発行事業者となった企業はどのような対応が必要になるのでしょうか。ここでは、売り手(商品を販売する側)、買い手(商品を購入する側)にわけて影響を整理しましょう。

自社が売り手(商品を販売する側)の場合:請求書や納品書の修正

インボイス制度の導入に伴い、適格請求書発行事業者の登録番号などを請求書に記載する必要があります。そのため、自社が利用している請求書の見直しが必要になるでしょう。外部の請求書サービスを利用している場合は、インボイス制度に対応したフォーマットに入れ替わる可能性が高いですが、エクセル等の自社固有のフォーマットを活用している場合は、請求書フォーマットの見直しが必要になります。

買い手(商品を購入する側))の場合:業務フロー・会計システムの見直し

インボイス制度の導入により、請求書が適格請求書かどうか確認する必要が生じます。適格請求書発行事業者からの請求の場合は、従前と異なる税額計算方法を使用する必要があります。つまり、当面は、適格請求書の可否に応じ、2つの税額計算方法を併用する必要が生じます。

参考:適格請求書等保存方式の下での税額計算(国税庁)

そのため、適格請求書等の受領時・会計システム入力時等の業務フローの見直しが必要です。また、経理部門に限らず、経費申請ルール・取引先選定ルールなどの見直しも必要になるでしょう。

出張手配におけるインボイス制度の影響

最後に出張手配におけるインボイス制度の影響について確認しましょう。そもそも軽減税率は出張にどのような影響を与えるのでしょうか。国内出張と海外出張に分けて説明します。

国内出張・海外出張でインボイス制度の影響は異なる

国内出張へのインボイス制度の影響

新幹線・航空券・宿泊施設の代金が課税対象となるためインボイス制度の影響を受けます。ただし、出張旅費や宿泊費、日当などは全額10%対象なので、軽減税率の対象にはなりません。仮に日当で飲食を購入した場合でも、「飲食料品の譲渡」の対価として支出していないため、軽減税率の対象とはなりません。

海外出張へのインボイス制度の影響

基本的に日本国外で利用するサービスについては、課税対象外となることもあり、インボイス制度の影響は少ないと考えてよいでしょう。

参考:海外出張に係る、消費税の増税による影響範囲について

以上のことから、出張手配において旅行代理店などを活用する場合のインボイス制度対応については、国内出張を意識すればよいと言えます。

インボイス制度開始後に旅行代理店やオンライン旅行予約サイトを使う場合の注意点

出張手配における取引は委託販売となるため、航空会社や宿泊施設からのインボイスは不要

委託販売におけるインボイス制度
出典:国税庁

旅行会社はフライトや宿泊施設を仕入れ、企業へ販売しているため、委託販売に該当します。委託販売においては、①受託者と買手、②委託者と受託者は切り離してインボイスのやり取りを行います。下記の図の場合、企業は「買手」、旅行代理店が「受託者」に該当するため、旅行会社を経由して航空券や宿泊施設を手配する場合は、個々の航空会社や宿泊施設のインボイスは不要になります。

出張手配物の課税・不課税を把握する

前述の通り、海外出張における航空券や宿泊施設は不課税となるため、インボイス制度をそれほど意識する必要はありません。一方で、国内出張の場合は課税対象になるため、旅行会社の選択が自社の会計に大きな影響を与えます。出張時の手配物を洗い出し、それぞれの課税・不課税の実態を確認しましょう。

出張手配を行う旅行会社やオンライン旅行予約サイトがインボイス制度に対応しているか確認する

出張手配においては、旅行会社に依頼するか、旅行予約サイトで購入するケースがほとんどだと思います。それらの手配依頼先が適格請求書発行事業者であるかは確認したほうがよいでしょう。特に国内出張においては、適格請求書発行事業者とそうでない事業者を併用すると、経理処理が煩雑になるので注意が必要です。

出張費用の会計仕訳などについて詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

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