出張においては、都市部にあるオフィスへの訪問だけでなく、郊外にある工場への訪問を目的としたケースもあります。後者の場合、飛行機や鉄道だけで目的地に到着することはできず、タクシーやレンタカーなどを利用して現地に訪問する必要があります。また、出張先で複数の訪問先がある場合に、レンタカーを活用するケースもあります。しかし、出張におけるレンタカーの利用はそれほど多くないため、予約方法や精算方法が分からない方も多いと思います。
そこで、このコラムでは出張先でレンタカーを利用する方法やその精算方法、加えて、会計上の仕訳について解説します。
出張先でレンタカーを利用する際は、法人契約による専用サイトでの予約、レンタカーオンライン予約サイトでの予約、旅行会社への依頼の3つの方法が考えられます。
主要なレンタカー会社では、法人向けにサービスを提供しています。企業が法人契約している場合、専用の予約サイト上で予約することが可能です。この場合、サイト上で予約を完結でき、かつ、支払いに関しても会社で一括請求してくれるため、個人立替が必要ありません。一方、借りることのできるレンタカー会社は、契約先のレンタカー会社のみとなるため、出張先にレンタカー会社がない場合は、利用できない場合もあるので注意が必要です。
レンタカーを予約する際に最も簡単な方法は、レンタカー予約サイトにアクセスし、予約する方法でしょう。レンタカーサイトとしては、上述のようなニッポンレンタカーなど個別のレンタカー会社を利用する方法もありますが、楽天トラベルやスカイチケットなどレンタカー予約プラットフォームを利用する方法もあります。後者の場合、目的地を入力すれば、そのエリアで貸出しているレンタカー会社を一括比較した上で選択・予約することができます。ただし、この場合は、出張者自身での支払いが必要であり、出張後の立替精算が必須になります。
続いて紹介するのは、旅行会社経由でのレンタカー手配です。旅行会社に目的地や利用期間、クルマのサイズ等を伝えることで、旅行会社側が要望に沿ったレンタカーを手配してくれます。旅行会社に依頼すると、自分で調べたり予約する手間を省くことができ、また、支払いについても会社請求となるため、立替精算が不要になります。一方で、レンタカー会社からの返答を待つ必要があるため自分のペースで進めないもどかしさを感じるかもしれません。
それぞれの特徴を表にまとめると以下の通りです。
法人契約の活用 | レンタカー予約サイト | 旅行会社に依頼 | |
スピード | 〇 | 〇 | × |
手間 | △ | × | 〇 |
自由度 | × | 〇 | 〇 |
立替精算 | なし | あり | なし |
レンタカーの予約方法については会社ごとに規則があるため、予約前に利用可能な方法や承認手続きを確認しましょう。
上述の内容により、出張先でレンタカーを利用する際に、オンライン予約サイトで個人手配した場合は、出張終了後に出張経費精算が必要になります。出張経費精算をする場合は、電車や飛行機と同様に、旅費交通費として精算が可能です。また、レンタカーを借りる際に加入する保険料やノンオペレーションチャージなどについても同じく経費として精算することができます。
なお、経費精算にあたっては領収書が必要になるのでレンタカー会社で必ずもらってきましょう。
レンタカー代は、業務上必要な費用である場合は経費に計上できます。なお、レンタカー費用に加え、ガソリン代や保険料も計上することが可能です。例えば、レンタカー代12,000円、ガソリン代3,000円、NOC補償料が500円だった場合は、155,00円を旅費交通費として計上することができます。
なお、高速道路を利用し、ETCカードで支払った場合なども旅費交通費として計上することができますが、利用時は貸方を未払金として計上し、引き落とし時に未払金を解消する必要があります。
ETC利用時の仕訳
貸方 | 借方 | ||
旅費交通費 | 2,000円 | 未払金 | 2,000円 |
引き落とし時の仕訳
貸方 | 借方 | ||
未払金 | 2,000円 | 普通預金 | 2,000円 |
なお、レンタカー代の勘定科目は、旅費交通費の他に、車両費、貸借料なども用いることができます。どの勘定科目で計上するかに明確なルールはありませんが、一貫性のある計上方法が大切です。同じ取引内容は同じ勘定科目で計上するように心がけましょう。
出張においてレンタカーを利用するケースはそれほど多くありませんが、だからこそ利用にあたってはお困りになることもあろうかと思います。予約方法や承認ルールなどは事前に社内でまとめておきましょう。また、レンタカー利用が多い場合は、大手レンタカー会社と法人契約することも視野にいれておきましょう。