近年、外国籍の人材を積極的に採用する企業が増えています。それらの企業では、自社の外国籍スタッフが海外出張するケースも増えています。
外国籍スタッフは、言語や渡航国に対する知見から海外出張において強力な人材ですが、出国の際は日本人社員とは異なる手続きが必要になる場合があります。
この記事では、外国籍社員が出張する際の手続きや注意点を解説します。
外国籍の従業員が日本を出国する際には、再入国許可の手続きをしなければなりません。再入国許可の手続きを忘れた場合は、現在のビザ(在留資格)が失効していまい、再度ビザ(在留資格)の申請を行うことが必要になります。再入国許可に関する手続きは、下記の2パターンが考えられます。
出国期間が1年未満の場合、みなし再入国許可制度を利用することが出来ます。対象となるのは3ヶ月以上のビザ(在留資格)をもつ外国人の方となります。事前の手続きはいらず、手数料は無料です。
具体的な流れとしては、空港にて配布されている、みなし再入国出国用EDカードを受け取り、みなし再入国許可の意図表明欄にレ点をチェックしましょう。その後、出国審査にてパスポート、在留カードと一緒に提示します。
なお、出国期間中に、在留カードの期限が切れてないようにご注意してください。
出国期間が1年以上、又は、在留カードを交付されていない(3ヶ月未満のビザ)外国籍の方は、再入国許可申請が必要になります。再入国許可の申請は、管轄の地方出入国在留管理局にて申請することが可能です。費用は1回限りの場合は3000円、数次にわたって利用する場合は6000円です。許可書は、当日受け取ることが可能です。
自社の外国籍従業員が出張する場合は、出国期間は一年未満になるかと思うので、みなし再入国許可制度で対応可能なことが一般的です。
ビザが必要な国に出張する際には、ビザを取得しなければなりません。
日本のパスポートは多くの国・地域に対して、ビザ免除措置を受けており、2024年4月1日時点では、71の国・地域がビザの免除措置を行っています。
一方で、外国籍社員によっては免除国が少ないパスポート所持者もいると思います。それらのパスポート所持者は事前にビザの申請が必須となります。そのため、出張にあたっては、渡航国におけるビザの必要要件を確認しましょう。
ビザの要否を確認する際は、Henley Passport Indexが便利です。世界の航空運輸企業の業界団体であるIATAのデータをもとに作成されているため信頼性があります。
※最終的には渡航国の大使館ページにて確認することを推奨します※
外国籍スタッフのビザ申請は、基本的には日本国内にある大使館や領事館にて申請が可能です。ただし、日本のパスポート所持者と比較して、提出資料が多かったり、申請から取得に要する期間が長引いたり、取得費用が高い場合があるため、詳細については大使館のホームページや直接問い合わせで確認しましょう。
ビザと同時に準備するのが海外航空券です。一部の国ではビザの申請にあたり、海外航空券や保険付保証明書を提出する必要があります。
海外航空券の予約に関しては、社内のバックオフィスチームが代理で手配することもあると思います。その際に注意すべきなのが搭乗者名です。搭乗者名とパスポート上の氏名が一致していない場合は、搭乗を拒否されるケースがあるので気を付けましょう。
ここで気を付けたいのがパスポート上の氏名です。日本のパスポート所持者は、基本的に姓(Surname)と名(Given Name)であり、海外航空券の予約においてもそれらを分けて入力すればよいのですが、外国のパスポートの場合は以下のようなケースがあります。
そのため、外国籍従業員の海外航空券を予約する場合は、社員情報ではなく、パスポートの名前を確認しましょう。
また、氏名の記載ルールは、航空会社ごとに異なります。搭乗者名の入力にあたっては、ご利用予定の航空会社の氏名入力ルールを必ず確認しましょう。
「姓(苗字)・名・ミドルネーム」の入力について(国際航空券)(JAL)
この記事では、外国籍社員が出張する際の注意点を解説しました。外国籍の社員が海外出張する場合は、日本人の社員が出張する際とは異なる手続きが必要になります。対象となる出張者と連携を取りつつ、手続きを進めていきましょう。また、手続きに時間がかかるため、余裕を持って準備をしましょう。