海外出張で必要なもののひとつとしてビザ(査証)が挙げられます。観光目的であれば、取得が容易な観光ビザや無査証で入国が可能ですが、ビジネス目的の場合は商用ビザや就労ビザの取得が必要な場合があります。ビザの種類は数が多く、どのビザを申請したらよいか迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ビザの種類や取得における注意点を解説します。
ビザ(査証)とは、「入国を許可する証書」を指します。ビザが必要かどうかは国籍や入国目的、滞在条件によって変わります。入国前の事前取得が必要なこともありますが、電子申請や現地の空港で簡単に取得できるビザもあります。
入国に必要なビザを取得出来ていなかったり、ビザの有効期限が切れている場合は入国拒否や不法滞在にあたり、強制送還の対象になる可能性もあるので気を付けましょう。
ビザには国により様々な種類がありますが、ここでは出張手配で主に利用されるビザを紹介します。
旅行客や知人への訪問といった観光目的で入国する方が取得することが多いビザです。
日本国籍かつ観光目的で入国を希望する場合は、無査証で入国可能な国数は世界一位(※)となっています。ただし、この調査は日本での事前申請が不要な国のみをカウントしているため、オンラインによる電子ビザや現地到着時に取得するアライバルビザが必要になる国もあります。
ビザは入国目的や滞在期間によって、取得すべきビザの種類が変わります。出張の場合は、業務目的となるため、観光ビザや無査証での入国は拒否される可能性もあります。渡航国のビザ要件は必ず確認しましょう。
(※)出典:Henley Passport Index
業務ビザと呼ばれることもある、出張をはじめとしたビジネス関連での渡航で必要なビザです。
観光ビザよりも申請書類が多く、送り出す企業や現地訪問先が書類を用意しなければならないこともあります。
業務渡航でも長期間の滞在を予定していたり、現地での活動内容(技術指導等)によっては商用ビザではなく、就労ビザの申請が必要な場合があります。
商用ビザと同様に、企業や現地訪問先が書類を用意する必要があったり、指定言語による経歴書や証明書の作成が必要になることも多く、渡航者個人での取得は難易度が高いビザと言えます。
ビザには、入国可能な回数が決まっていることがあります。シングル(1回)、ダブル(2回)、マルチプル(複数回)といった呼称で、上述のビザにパターンが設定されています。
再入国を予定している場合は、入国回数を超過しないか気を付けましょう。
ビザや個人の条件により必要な書類は異なります。ここではよく提出を求められるものを紹介します。
ビザの申請書です。日本語ではなく、指定言語での記入が求められるため、記載した内容に誤りがないか慎重に確認しましょう。
ビザはパスポートに貼付されたり、押印されます。申請中はパスポートを預けることになるので、パスポートを持っていなかったり、更新が必要な場合は早めに用意しましょう。
また、証明写真は大きさの規格や背景の色などが厳格に定められているケースが多いので、事前に申請ページで確認する必要があります。
パスポートの取得方法について知りたい方はこちら
ビザの取得手数料です。クレジットカードでの支払は不可の場合もあります。
長期の就労や留学、赴任以外の場合は、帰国日が分かるチケットの証明を求められることがあります。
商用ビザや就労ビザの申請で求められることが多いです。指定言語で学歴や職務経歴、現地での活動内容を記載します。
本人の銀行預金残高の証明書が必要なビザがあります。その場合、指定された金額以上の残高証明書を銀行で発行してもらいます。
入国にあたり保険に加入していることを証明する資料を求められる場合があります。保険の付保証明書は、保険会社に請求することで発行可能です。
現地の就労先や訪問先、政府機関が渡航者を招聘するために発行する書面です。渡航目的や身元を保証する内容が記載されたものです。
現地での就労を許可する証明書です。基本的に、この証明書に記載された内容以外の活動は認められません。
雇用主が出張者の身分を証明し、ビザ発給を依頼する推薦状です。インビテーションレターと呼ぶ場合もあります。
ビザは主に3通りの申請方法があります。申請する国やビザの種別によって、取得方法が変わります。ここではそれぞれの申請方法について一般的な申請の流れを紹介します。
入国前に取得する場合や書面の提出、面接が発生する場合は大使館や領事館にビザを申請します。
なお、申請者の居住地域によって、大使館か各領事館に申請するか管轄エリアが決まっていることがあります。郵送申請や代理申請が可能かは大使館や領事館により対応が異なります。
1、申請書類の準備
2、管轄する大使館または領事館にビザ申請(郵送、持参)
3、(必要な場合)面接の予約
4、(必要な場合)面接
5、ビザの受領(郵送、訪問)
出典:ESTA申請ウェブサイト
電子ビザ(eビザ)と呼ばれることもある、従来のビザ申請を簡略化したものです。有名なものはESTA(アメリカ)やETAS(オーストラリア)、ETA(カナダ)等があります。
近年、電子ビザは増加傾向にあり、オンラインで完結するため利便性が高くなりました。その反面、いつでも申請出来るためうっかり忘れてしまい、当日空港で申請漏れが発覚することもあります。オンライン申請とはいえ、申請から認可まで数時間から数日の時間がかかるので、渡航が決まったら早めに申請しましょう。
また、電子ビザの広まりから、代行会社によるウェブサイトも乱立しており、費用が高額になったり、申請不備や個人情報流出の危険性が指摘されています。十分に気を付けましょう。
1、ウェブサイトから申請
2、申請受付のメール受信
3、ウェブサイトで認可を確認
オンライン上で確認出来るため、本来は不要ですが、入国審査の際に認可されたページやコピーを提示できるようにしておくと、入国審査官とのやりとりもスムーズです。
アライバルビザと呼ばれています。
降機後にビザカウンターに赴き、アライバルビザを取得します。申請書は機内で配布されるか、ビザカウンターで受け取ります。証明写真が必要な場合もあるので、日本から持参が必要か確認しておきましょう。
また、アライバルビザの取得には時間がかかるため、国内線への乗継を予定している場合は、乗継時間に余裕があるかを考慮しておきましょう。
1、降機後にビザカウンターへ向かう
2、申請書に必要事項を記入
3、ビザカウンターで申請書や手数料、証明写真等を提出
4、アライバルビザを受領
5、入国審査
国籍や入国目的、滞在期間、活動内容等によって適切なビザは異なります。ビザ会社や旅行会社に問い合わせる場合は、可能な限り渡航者の情報を開示できるようにしましょう。
また、専門業者であれば、申請書類の準備や提出、面接予約を代行してもらえます。個人での申請に不安がある場合は代行業者に依頼すると安心です。
国によっては特定のビザ会社や旅行代理店を通さないとビザ申請が出来ない場合があります。指定業者がある場合は、大使館のウェブサイトに紹介されていることもあります。
特定の国や特定の国籍の方においては、空港から出ず、乗継のみであっても入国扱いとなるためビザの申請が必要です。
国によっては観光ビザや無査証で入国後にビジネス目的の業務にあたると、虚偽のビザ申請とみなされ問題になる可能性があります。虚偽申告と判断された場合は強制送還や罰金刑、再入国の禁止といった厳しい措置の対象となります。
ビザ申請が拒否された理由が開示されることはありません。これは代行業者が申請先に問い合わせた場合も同様です。申請書類の不備や情勢の変化、本人や関係先の信用度といった様々な要因が考えられます。
一度、ビザ発給が拒否されると同国において、以降の申請は認可が下りにくくなる可能性があります。
ビザの取得について解説しました。ビザには様々な種類があり、自身の海外出張にどのビザが必要かどうかの判断は難しいと言えるでしょう。各国において入国管理における手続きは厳格に行われており、申請も慎重になる必要があります。不安な方は旅行会社やビザの代行業者を利用し、確実なビザ申請を行うことをおすすめします。