平和と経済の関係性を分析する国際機関「INSTITUTE FOR ECONOMICS & PEACE」がGLOBAL TERRORISM INDEX 2017を公表しました。
同資料はこちらからダウンロード可能です。
http://economicsandpeace.org/reports/
前回は、2016年における国際テロの動向について要約しました。
今回は、国際テロがビジネスに与えた影響について要約します。
テロによる経済損失は2014年にピークを迎え、減少傾向にある
上図は、国際テロがもたらす経済への影響を表したものです。経済損失とは、下記のルールに基づき設定されています。
経済損失の計算方法
被害者の負傷や死亡・・・直接・間接的な経済的損失を含んでいます。直接的な経済損失とは、入院や政府の支出を表し、間接的な経済損失とは、生産性の減少や心理的なトラウマ、家族に与える影響などが含まれています。
器物破損・・・建物や寺院、遺跡等が破損したときの補修に要する費用。
2001年の9.11以降、増加傾向にありました。特に2012年からはISILの台頭によって急増し、その金額は、1,040億ドルにも達しました。。しかし、2014年にピークを迎え、現在は減少傾向にあります。とはいうものの、年間840億ドルと莫大な経済損失を生み出しているのも事実です。
テロリストの資金源は?
テロリストの活動は、合法・非合法問わず、様々な資金によって支えられています。ここでは、ISILの資金源を見てみましょう。
2016年のISILの年間収入は、69,500万ドルでした。収入の約半分を占める「Tax and Fees」とは、テロリスト集団自身及びそれらを支援する組織・期間からの資金を表します。次に多いのは、「Oil and gas」とあるように、石油の密輸によるものです。その他では誘拐や脅しなどによって収益を得ています。
なお、近年は、石油の密輸による収益が減少しており、その代わりに、薬物の売買などで収入を得ているようです。
今回は、国際テロの経済的な影響や国際テロリスト集団の資金源について解説しました。資金源は、年々減少していますが、それでもスモールサイズの国家予算に相当する金額に及び、今後も注視が必要です。