海外出張における出張規程の作成ポイント4:出張規程「出張旅費」の記載内容
合わせた読みたい!海外出張旅費規程のシリーズ一覧
海外出張における出張規程の作成ポイント1:出張規程の構成
海外出張における出張規程の作成ポイント2:出張規程「総則」の記載内容
海外出張における出張規程の作成ポイント3:出張規程「出張手続き」の記載内容
海外出張における出張規程の作成ポイント4:出張規程「出張旅費」の記載内容
海外出張における出張規程の作成ポイント5:出張規程「特記事項」の記載内容
出張規程は、「総則」、「出張手続き」、「出張旅費」という3つの項目によって構成されます。
総則:適用範囲や出張の定義などを規程したもの
出張手続き:出張に係る申請から報告・清算までの流れを規程したもの
出張旅費:交通費や宿泊費、日当などの規則を定めたもの
前回の記事では、それらのうち「出張手続き」に記載すべき内容について解説しました。
今回は、「出張旅費」に記載すべきに内容を紹介します。
出張において、最も重要な規程の1つが出張旅費です。役職ごとの宿泊費用や日当に加え、旅費として認める費用を記載しましょう。
参考:No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い(国税庁)
出張旅費に記載すべき項目は以下の通りです。
旅費の種類を明確にします。一般的には、下記の区分となることが多いです。
以下では、上記の旅費について細かく紹介します。
交通費は、様々な論点があり、慎重な検討が求められます。
はじめに、どこからどこまでに要した移動費用を交通費とみなすかを明記します。一般的には、本国を出発し、帰着するまでに要した費用とし、日本国内の移動については国内出張規程に準ずるケースが多いようです。
続いて、交通費の計算方法について規程しましょう。ポイントとなるのは、原則として、経済的・時間的な観点から合理的な計算方法により、計算される点を明記することです。
また、飛行機の利用にあたり、地域の区分や役職に応じて、利用できるクラスが異なる場合は、その点についても明記しましょう。
役職ごとによる利用可能な航空クラスの記載例
区分 | 地域1 | 地域2 | 地域3 |
本部長、役員 | ビジネス | ビジネス | ビジネス |
部長、課長、主任 | エコノミー | エコノミー | エコノミー |
一般 | エコノミー | エコノミー | エコノミー |
地域の区分及び役職に応じた海外出張期間中の宿泊費用を明記しましょう。例えば、下記のような記載が一般的です。
区分 | 地域1 | 地域2 | 地域3 |
本部長、役員 | ●●●円 | ●●●円 | ●●●円 |
部長、課長、主任 | ●●●円 | ●●●円 | ●●●円 |
一般 | ●●●円 | ●●●円 | ●●●円 |
宿泊費と同様に、海外出張期間中の日当を明記しましょう。なお、日本への発着時間により、半日以下の勤務時間となる場合は、日当を半額にしてもよいでしょう。
区分 | 地域1 | 地域2 | 地域3 |
本部長、役員 | ●●●円 | ●●●円 | ●●●円 |
部長、課長、主任 | ●●●円 | ●●●円 | ●●●円 |
一般 | ●●●円 | ●●●円 | ●●●円 |
出張旅費として含める費用を明記しましょう。一般的には下記の費用が含まれます。
海外出張においては、海外旅行保険を付保することが一般的ですが、誰が申請を行い、誰が費用負担するかについて明記しましょう。
なお、保険内容は様々な選択肢があるので、事前に付保する条件を決定しておくとよいでしょう。また、役職によって保険内容を変更する場合は、その旨を記載しましょう。
出張時の現地での支払いに関しては、外貨による支払いとなるため、精算時に基準とする為替レートについて明記しましょう。一般的には、発生日の為替レートTTM(Telegraphic Transfer Middle)を使いますが、社内でルールを作ってもよいでしょう。
出張旅費に記載すべき項目はここまでに述べた通りですが、企業にとってのもう一つの課題は、各旅費をいくらに設定すべきかという点です。
設定にあたっては他社の情報を参考にしているかと思いますが、産労総合研究所が定期的に出張旅費の調査を行っているので参考にするとよいでしょう。
参考:「2021年度 国内・海外出張旅費に関する調査」(産労総合研究所)
以上が出張旅費で触れるべき内容となります。次回は、その他に留意すべき事項を整理します。
海外出張における出張規程の作成ポイント5:出張規程「特記事項」の記載内容