出張では、新幹線、ホテル、レンタカー、タクシー、お土産代など、様々な費用が発生します。出張後、それらは費用を精算しますが、その際に領収書が見つからないといった経験はありませんか?
経費の精算においては、出張に関わらず領収書の提出が求められることが一般的ですが、この記事では、領収書の要否や領収書の取得方法、紛失時の対処法について解説します。
租税法上、交通費は領収書が発行されない場合もあるため、領収書なしで交通費精算することが可能です。しかし、実態としては、不正防止や税務署からの監査対応の観点から、社内ルールとして領収書の添付を必須としている企業がほとんどです。そのため、出張者は出張時に発生した費用の領収書を必ず取得するように心がけましょう。
なお、出張経費の不正防止について詳細が知りたい方はこちらをご覧ください。
出張精算時に気を付けるべき不正経費とは?防止策と対処方法について解説
みどりの窓口で新幹線を購入した場合は、購入時、係員に領収書が欲しい旨を伝えれば発行してもらえます。
新幹線の乗車券を券売機を利用して購入した場合は、領収書も併せて発行できます。購入時に、「領収書」というボタンが表示されるので、タッチして取得します。
なお、一般的な乗車券の場合は、券売機で領収書を取得することはできないため、改札にある窓口で係員に領収書の発行を依頼しましょう。
EX予約など、オンラインで新幹線のチケットを予約した場合は、予約したサイト内で領収書を発行することができます。
金券ショップで新幹線回数券や優待券を購入した場合は、金券ショップで領収書を取得することができます。ただし、その場合、宛名は「チケット代」となることが一般的なので、領収書の名称について問題ないか事前に確認しましょう。
航空券は、航空会社のサイトや旅行代理店のサイトで購入します。なお領収書は、購入したサイト内で取得できます。サイト上に取得方法が掲載されていない場合は、サイトのお問合せ窓口に連絡して領収書の発行を依頼しましょう。
続いて、ホテルの領収書のもらい方を解説します。民法486条の中に「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と規定されているように、サービス提供者に領収書発行が義務付けられているため、ホテルの領収書を受け取ることは可能です。
ホテルのフロントで現地払いする場合は、チェックインまたはチェックアウトの支払い時に領収書が発行されます。
なお、領収書には「作成者の氏名又は名称、取引年月日、取引内容、取引金額、交付を受ける事業者の氏名又は名称」が必要ですが(消費税法第30条9項1号)、ホテルなどの旅行業者の場合は「交付を受ける事業者の氏名又は名称」(=宿泊者名)を省略しても良いことになっています。そのため、ホテル側は宛名を書かずに領収書を渡すことが多いですが、会社の規程で宛名が必須となっている場合は、宛名部分を書いてもらうように依頼しましょう。
オンラインのホテル予約サイトで予約した際、事前決済が求められるケースがあります。事前にクレジットカード決済した場合は、予約サイト上で領収書が発行可能です。なお、予約サイトによっては、購入時のみ領収書を印刷できるなどのルールがあるため、できるかぎり購入したタイミングで領収書を発行しましょう。
レンタカーやタクシーなど、出張時には移動手段・宿泊施設の他にも様々な手配物を利用するケースがあります。基本的にはオンラインで予約(決済)したものはオンライン上で、その他の場合は支払い時に領収書を取得するというスタンスで対応すると良いでしょう。
領収書の宛名や但し書きはどのように書いてもらうのが良いのでしょうか。ここからは、領収書の宛名や但し書きについて説明します。
領収書の宛名は実際に商品の代金を支払う人の名前を書きます。出張の場合、最終的に精算するのは会社になるため、領収書の宛名は、個人名ではなく、会社名とするのが基本です。
なお、株式会社を(株)と略して記載される場合がありますが、会社によっては記載のルールが決まっている場合もあるので、前もって確認しておきましょう。
一般的に、領収書は宛名が必須ですが、旅客運送業などは宛名が良くてもよいとされています。例えば、JRや新幹線の場合、切符を買った際には領収書をもらうのが非常に困難なため、領収書なしでも精算が認められています。
ただし、企業の会計上は、日付や金額、乗車区間などが必要なため、領収書が不要な場合でも乗車記録はメモしておきましょう。
宛名が空欄となっている領収書を受け取った経験のある方もいると思います。そういった場合でも自分で宛名を書かないように気を付けましょう。
なぜなら、自分が宿泊をしたホテルの領収書であっても、宛名を自分で書くことで正しい領収書ではないかと疑われる場合があるためです。
したがって、出張時に利用したホテルなどの領収書の宛名は空欄にせず、会社名で宛名を書いてもらうように気を付けます。
領収書には宛名だけでなく日付の記載も忘れないように気を付けましょう。日付があると利用の証明となるため経費となりやすく、後日精算の申請が可能です。
なお、日付の西暦や和暦については決まりはありませんが、西暦で書いておいたほうが精算がスムーズにいくケースが多いです。
経理部門では、それぞれの費用がどの費目であるかを確認し、経費処理を行います。そのため、但し書きについては、「お品代として」などではなく、具体的に何を購入したのかがわかるように記載してもらいましょう。
取引内容が分からない場合は、後日精算ができないこともあります。
例えば、ホテルであれば「宿泊代として」としてもらうことで、領収書としての役割が果たせるようになります。
なお、領収書の書き方にしっかりとした決まりを設けている会社もありますので、前もって確認しておくのをおすすめします。
出張先で領収書を紛失してしまったり、受領し忘れることはよくあります。ここでは、領収書がない場合の対処法を紹介します。なお、会社によってはこれらの対処法を認めていないケースもあるので、事前に会社にも確認しましょう。
支払い時にもらったレシートがある場合は、レシート領収書として取り扱える場合があります。また、クレジットカードで支払った場合は、クレジットカードの利用明細を提出することで支払いの証明が認められることがあります。
交通費の申請などで利用される出金伝票を作成することも1つの手段となります。出金伝票には日付や金額などの記載が必須なので、領収書を紛失した場合は忘れないうちに支払った費用の内容をメモをしておきましょう。
会社の旅費規程の金額を超えており一部自己負担したい場合やプライベートの宿泊と切り分けたい場合などは、ホテルの領収書を分割したいとお考えになると思います。その場合、ホテルで現地支払いを行う場合は、ホテルの係員にその旨を伝えて分けてもらいましょう。
一方、オンラインでのホテル予約サイトでは、サイトによって分割の可否が異なります。そのため、領収書の分割が可能であるかは、予約前に確認しておきましょう。
出張においては出張者による立替が少なからず発生します。また、交通費などを立て替えている場合は、出張者による立替は高額になります。領収書の紛失によって、自己負担が発生することは、本人も会社も望むものではありません。そのため、出張時の支払いについては、細かく管理するように心がけましょう。
出張後の旅費精算の流れや注意点を解説します(旅費精算書のテンプレートあり)