産労総合研究所の「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」によると、91.4%の企業が日当(出張手当)を支給しています。
日当をはじめとする出張手当には、節税効果や経費処理の効率化のメリットがあると言われますが、会計上の処理についてお困りの方もいらっしゃると思います。
そこで、この記事では、出張手当の勘定科目や仕訳方法について解説します。
出張手当とは、会社の役員や従業員が出張のために負担した食事代や諸経費などの費用を補てんするために、会社から支給する金品のことで、「出張手当」、「出張日当」、「旅費日当」などと呼ばれます。出張において日当を活用することで、税制のメリットや事務処理の簡略化が期待できます。
出張時の日当の概要やメリットについて知りたい方はこちらをご覧ください。
意外と知らない?企業の多くが支給している出張の日当の活用メリットと相場を解説
会社が従業員に支給する手当には、残業手当や住宅手当などがありますが、これらは原則として給与所得になるため、所得税・住民税が課税されます。
一方で、出張手当については、企業の職務を遂行することを目的に支給される金品となり、交通費や宿泊費と同様に、その旅行に必要なものとして扱われることから、所属税法9条1項4号に基づき、「非課税」とされています。
参考:No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い(国税庁)
領収書と引き換えに実費精算を行う交通費とは異なり、出張手当は、渡切精算(役員や従業員に対して業務のために使う目的で金銭を支出したにもかかわらず、その使途や使用金額について精算を要しないもの)として支給されます。そのため、出張手当の対象範囲は慎重に設定する必要があります。
一般的には、出張手当は、出張旅費規程において、「出張中の食費や少額の諸雑費の支払いに充てるための費用」などと定義されています。
そのため、出張手当として定義される費用は、出張経費として別途計上できないので注意が必要です。例えば、出張中の昼食代を誤って経費申請すると二重計上になってしまいます。
ここで、出張時に発生する代表的な支出について、精算方法と仕訳方法を紹介します。
新幹線などの移動費用については、旅費交通費として実費精算で支払うことが一般的です。続いて、ホテル代も旅費交通費として仕訳されますが、精算方法は実費を採用しているケースと、出張手当に含めているケースがあります。後者の場合、領収書は不要になり、定額支給となります。
なお、お土産代や会食費用は、出張手当に含まれることはなく、交際費として実費精算するのが一般的です。
最後に出張者自身の出張先での昼食代や、急遽、営業資料を印刷した場合の印刷費は、出張手当に含まれることになり、個別の経費申請を行いません。そして、出張手当は旅費交通費として仕訳されます。
経費の内容 | 精算方法 | 勘定科目 |
---|---|---|
新幹線の交通費用 | 実費精算 | 旅費交通費 |
ホテルの宿泊費用 | 実費精算or宿泊(出張)手当 | 旅費交通費 |
訪問先へのお土産 | 実費精算 | 交際費 |
取引先との会食 | 実費精算 | 交際費 |
出張者の昼食 | 出張手当 | 旅費交通費 |
現地でのコピー代 | 出張手当 | 旅費交通費 |
出張手当に何を含めるかによって、経費申請の対象も変わるため、出張旅費規程にて明確に定義し、出張者に浸透させるよう心がけましょう。
なお、出張時の日当の設定方法について知りたい方はこちらをご覧ください。