出張先でよく使う移動手段の一つがタクシーです。最寄り駅までは鉄道で移動し、客先までタクシーで移動するケースも多いのではないでしょうか。
さて、出張時にタクシーを利用した場合の経費精算は、出張旅費特例により通常のタクシー利用とは異なります。
この記事では、タクシー利用時の経費精算や勘定科目について解説します。
タクシー代の経理上の勘定項目としては、旅費交通費または交際費となります。どちらを選択するかは業務上の目的によって異なり、業務上の移動であれば旅費交通費、接待での理由であれば交際費となります。
旅費交通費は全て損金扱いができますが、交際費は資本金の額により一部が損金として認められません。そのため、間違えることがないように気を付けましょう。
2023年10月1日よりスタートしたインボイス制度において出張と関係があるのが仕入税額控除です。国税庁において、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引の一つに「(9)従業員などに支給する通常必要と認められる出張旅費など(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)」が挙げられます。
インボイス制度における出張旅費特の適用範囲や具体的な経理手続きを解説
出張においてタクシーを利用した場合は、「出張旅費等特例」などと記載すれば、タクシー会社のインボイス登録有無に関わらず、帳簿のみの保存での仕入税額控除が認められます。
ただし、「出張旅費等特例」となるのは業務上の目的で利用した場合のみです。出張先の顧客との会食に伴うタクシー利用などは、交際費扱いになるので気を付けましょう。
法人名義のクレジットカードでタクシー代を払った場合、会社と従業員の間で金銭の授受がされず、会社の銀行口座から費用が引き落とされるため、出張旅費特例を適用することができません。
そのため、法人名義のクレジットカードを使用した場合、仕入税額控除を受けるためには決済先から交付されるインボイスの保存が必要となります。
出張以外でタクシーを利用した場合の仕入税控除は、利用するタクシー会社がインボイスに登録しているか否かによって異なります。
仕入税額控除の対象となります。
インボイス制度開始後、6年間は経過措置が適用できます。開始後3年間は80%、その後3年間(4~6年目)は50%の控除が可能となります。6年目以降は全額について仕入税額控除をすることができません。
インボイス制度の導入後、仕入税控除の考え方は変わりましたが、出張においては「出張旅費等特例」によって帳簿のみの保存での仕入税額控除が認められます。ただし、法人カードを利用した場合などは例外的な対応が必要になるので注意しましょう。