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2025年版 出張費の相場と経費削減完全ガイド|効果的な出張費削減術

投稿日:2022.05.03 / 最終更新日:2025.12.01

 出張費用に関するまとめページはこちら

旅費交通費とは?出張費用の勘定科目や課税処理、経費精算プロセスを解説

企業活動において、新規取引先の開拓や支店との連携など、出張が必要になるケースは多々あります。一方で、出張においては、移動費用や宿泊費用などが必要となり、それらの費用は相当の金額に達します。そのため、企業のキャッシュフローを改善するという意味でも、出張経費の節約は重要な取り組みといえるでしょう。

この記事では、出張に係る費用を削減するためのポイントや具体的な施策について解説します。

出張費とは?経費の範囲と基本構成

出張費とは、企業が業務のために従業員を通常の勤務地以外の場所へ派遣した際に発生する費用の総称です。​

経費の範囲

  • 交通費:新幹線、電車、飛行機、バス、タクシーなど、出張先及び出張先での移動にかかる費用。​
  • 宿泊費:出張先でのホテル・旅館等の宿泊に必要な費用。​
  • 日当・出張手当:食事代や雑費として会社規程に従って支給される手当。​
  • 食事代:出張中の食事にかかる費用。日当に含まれる場合もあるほか、接待交際費として扱う場合もある。​
  • その他:レンタカー代、駐車場代、通信費、業務遂行に必須のコピー代なども経費対象になることがあります。​

基本構成とポイント

出張費には費用ごとに会社ごとの金額上限が設定されているケースが多く、実費精算や定額支給など、企業規定で経費精算方法も異なります。業務に必要な経費が原則対象ですが、私的利用や常識範囲を超える支出は認められません。​このように、出張費の主な項目と経費範囲は会社規程や税法・会計ルールに基づいて明確に定義されています。

出張費の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

旅費交通費とは?出張費用の勘定科目や課税処理、経費精算プロセスを解説

 出張旅費に関する現状

出張費の相場は、企業規模や業種、行き先によって幅がありますが、多くの企業が「交通費は実費」「宿泊費と日当は目安額を規程で定める」という形を取っています。ここでは、おおまかな相場感をつかむことを目的に、交通費・宿泊費・出張手当に分けて整理します。​

交通費の一般的な相場感

交通費は、実際に利用した交通機関の運賃をそのまま精算する「実費精算」が一般的です。新幹線や航空機のグリーン車・上位クラスの利用可否などは会社規程で決められることが多く、ビジネス利用では「普通車指定席」や「エコノミークラス」を基準とするケースが主流です。​

宿泊費の相場(国内・海外の目安)

国内出張の宿泊費は、ビジネスホテルのシングルルームを基準に、一般社員で1泊8,000〜10,000円前後、管理職クラスで1泊9,000〜12,000円前後といった水準がよく用いられています。東京や大阪など大都市では1泊1万円前後〜1万5,000円以上になるケースもあり、インバウンド需要や繁忙期によって相場が上振れする傾向があります。​

海外出張の場合は地域差が大きく、アジア主要都市で1泊1万円台前半、欧米主要都市では1泊1万5,000〜2万5,000円程度を目安とするケースが多いとされています。物価や治安、移動距離を踏まえて、国内よりも高めの上限を設定する企業が一般的です。​

宿泊費の相場が気になる方はこちらをご覧ください。

最新データで解説!東京・全国ビジネスホテル宿泊費相場2025

出張手当(日当)の相場とよくある水準

出張手当(日当)は、国内出張では1日あたり2,000〜3,000円前後を設定する企業が多く、調査データでも「2,000円台」がボリュームゾーンとして示されています。より細かく見ると、一般社員で2,000〜2,500円程度、管理職で2,500〜3,000円程度といった役職による差を設けるケースも一般的です。​

海外出張の出張手当は、国内より高めに設定されることが多く、1日あたり5,000円前後を基準に、地域(アジア、北米、欧州など)ごとに金額を変える運用も見られます。いずれの場合も、企業は税務上の非課税範囲や他社事例を参考にしながら、自社の旅費規程で「宿泊費上限」と「日当水準」を定めることが重要です。

 日当相場について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

出張日当とは?意味から相場、支給ルールまで徹底解説

出張費が高くなりやすい理由

出張費が高くなりやすい理由は大きく分けて、航空券や宿泊費の高騰と需要変動による外的要因、そして社員ごとの手配・精算にかかる間接コストの2つに整理できます。

航空券・宿泊費の高騰と需要変動

近年、出張費用は経済状況や物価の上昇、世界情勢の変化に伴って増加傾向にあります。航空券では、円安や燃油サーチャージの高騰、航空座席供給数の変動が価格を押し上げる要因となっています。宿泊費も同様に、人材不足によるスタッフ賃金の上昇や訪日観光客(インバウンド)の増加で需要が高まっており、特に東京などの大都市圏で価格が顕著に上昇しています。この結果、ホテルの客室単価はコロナ禍前の1.5倍以上に達するケースもあります。こうした物価上昇や需要の増加は、国内外の出張費全体のコストを押し上げています。​

社員ごとの手配・精算にかかる間接コスト

出張費には直接の交通費や宿泊費だけでなく、出張申請、予約手配、経費精算にかかる従業員や管理部門の業務時間も含まれます。これらの作業は人件費として間接的なコストがかかり、出張手配の分散化や非効率な管理体制では、コスト増大の一因となります。複数の旅行会社や比較サイトでの手配、精算ミスの対応などの手間も間接費用に加わり、結果的にトータルの出張費が高くなる傾向にあります。こうした間接コストは目に見えにくいため、経費削減の際に見落とされがちですが、組織的な出張管理システムの導入で効率化し抑制可能です。​

このように、物価上昇と需要増加による直接費の高騰と、手配・管理に伴う間接費の両面から出張費は高止まりしやすい状況にあります。企業としては双方の要因を踏まえた包括的な対応が求められます。 

出張旅費に関する現状

JTB-CWTの調査によると、2024年の出張経費予算は2023年と比較して、国内出張は105%増、海外出張は104%増という結果が出ています。国内海外ともに出張経費は増加傾向にありますが、その背景には航空券や宿泊費用の高騰があります。具体的な結果は以下の通りです。

エリア予算増加予算継続予算減少
国内23%66%11%
海外26%61%13%

出張経費が増加する以上、出張費の削減がより求められる環境になることが予想されます。

出張費を削減する上でのポイント

企業にとって出張経費を削減することの重要性は周知の事実だと思いますが、どこから手をつけてよいか迷っている方も多いと思います。また、社内に費用削減をするように指示しても、個々の出張者がそれを遵守するかは判断がつきにくいです。そこで、まずは経費削減にあたってのポイントを整理します。

安いものを探すよりも早く手配させる仕組みを構築する

出張費用の削減というと、ついつい比較サイトを通じて100円でも安い航空券やホテルを探してしまいがちですが、それよりも重要なのが早期に予約することです。

例えば、海外航空券の場合、ご出発の前の一週間前くらいになると、金額の増加は顕著であり、1日10%以上料金が高くなることもあります。それに対し、一か月前だと価格の上昇はほとんどありません。弊社が調べた結果だと、30日前に10万円だったチケットが出発直前には25万円になっているケースもありました。

航空券を安く買う方法は?航空券価格のメカニズムを学んで攻略しよう。

ホテルについても直前になると広い部屋しか空いていないケースが多く、価格は高くなりがちです。出張費を安くするためには、一日でも早く予約することが鉄則といえます。企業としては、従業員が出張が確定次第、直ぐに手配する仕組みを構築することが重要です。

仮押さえサービスを活用して出張費を削減

直接経費だけでなく、出張申請や経費精算に要する間接経費にも注目する

出張において見落とされがちなのが、出張の過程で発生する出張申請や経費精算に要する業務コストです。それらの費用は当然、業務時間としてカウントされるため、人件費と考えるのが妥当でしょう。海外の調査では、出張に付随する業務工数は数時間にも及ぶと言われており、人件費で考えれば相当な金額になるでしょう。飛行機代を押さえるために複数のサイトや旅行会社に依頼し、金額を比較をするといった行動は、場合によっては間接経費を含めるとメリットを生まない場合もあるので注意が必要です。

決定した出張経費削減方策の効果をモニタリングする

管理部門が出張費の削減に向けた施策を考えた後は、出張者に施策を浸透させる必要があります。しかし、出張者が手動で手配をする場合は、その施策がどの程度遵守されているかを確認するのが大変です。一つ一つの予約を経理部門や管理部門がチェックすると、その作業は膨大な時間となるでしょう。一方でモニタリングをしないとせっかくの計画が無駄になってしまいます。

出張経費削減方策については、出張管理システム等を活用し、その浸透方法と削減効果をモニタリングしましょう。

いますぐできる出張費削減テクニック10選

出張経費削減に向けての取り組みは様々な施策が考えられますが、どの施策を取るべきかは、自社の出張実態によって異なります。例えば、新幹線出張がメインの企業にとって、国内フライトの削減施策はあまり効果を生み出しません。自社の出張傾向を確認したうえで、最適な施策を取り入れていきましょう。

出張経費の節約につながる旅行商品を活用する

1. 早割の活用

航空券や航空券と宿泊施設をセットにしたパッケージ商品では、早割の制度があります。早割制度とは、予約日が早いほど安くなる制度です。一般的には、出発のおよそ21日前までに予約することで早割効果が期待できます。定例の会議など出張日が決まっているのであれば、積極的に活用するとよいでしょう。

早割制度は、価格面のメリットが大きい反面、キャンセル費用が高くなったり、返金がないケースもあります。そのため、早割制度の利用にあたっては、キャンセル規約をしっかりと確認するとともに、不確定要素の高い打ち合わせの場合は使用を控えるなど、工夫して活用しましょう。

2. 出張パック商品の活用

先ほど紹介した航空券と宿泊施設のセット商品など、移動手段と宿泊施設をセットにしたパッケージ商品は早期予約でなくても、それぞれ個別に購入するよりも割安になる傾向にあります。

ただし、早割制度と同様に、キャンセル規約が厳しいため、使用にあたっては出張の実施の確度を考慮しましょう。

3. 新幹線や航空会社と法人契約を結ぶ

新幹線はJR各社と法人契約をすることで費用の削減につながります。例えば、JR東海が提供するエクスプレス予約を法人契約した場合、東京-新大阪間の利用はいつでも1,000円程度安くなります。また、費用の削減に加え、パソコンやスマートフォンで簡単に購入や変更できる点もメリットと言えるでしょう。

同様に航空券についても法人契約によって費用削減できる場合があります。特に海外航空券に関しては利用実績によって数%の割引が可能になるケースもあります。

ただし、法人契約を行う場合は一定の利用実績が用いられるため、自社の出張頻度を基に検討していきましょう。

4. 格安航空会社(LCC)を利用する

飛行機での移動が多い会社は、格安航空会社(LCC)を活用してコスト削減することも可能です。LCCは運賃が安いのでタイミングがあえば、移動に要する費用を大幅に削減できる可能性があります。ただし、変更やキャンセルできないといった制限や空港の主要エリアから少し離れた場所で離発着するなどの課題があるので従業員と対話しながら利用を検討するとよいでしょう。

出張の仕組みと整えて出張費を削減する

5. 旅行会社を見直す

旅行会社はどこも同じと思われがちですが、会社によってサポート体制や手数料が大きく異なります。出張件数が多い場合は、手数料の影響も大きいため、旅行会社の見直しをするとよいでしょう。なお、Webでのセルフ予約を提供している旅行会社や法人向け旅行サービスは、一般的な旅行会社よりも手数料が安くなる傾向にあるので、出張費用を削減したい企業におすすめです。

6. 出張管理システム(BTM)を活用して経済合理的な航空券や宿泊施設を選ぶ

続いては、出張専用のシステムを活用することによる出張経費の削減方策です。BTM(ビジネストラベルマネジメントシステム)を活用すると、経済合理性に優れた移動手段や宿泊施設が提案されます。

一方、出張者自身が手配する場合は、宿泊規程ギリギリの宿泊施設を選んだり、自分がマイルをためている航空会社を利用するために高額なフライトを選択する場合もあり、コスト高になりがちです。

フライト時間が長かったり、過ごしにくい施設など、出張者の身体的な負担を高めてしまっては元も子もありませんが、ビジネストラベルマネジメントシステム(BTM)は、あくまでも経済合理的なプランを提示するためのツールであり、出張者の身体的負荷とコストのバランスを適正化するうえで効果的な手法といえます。

7. 法人税や消費税を節税するために出張手当を支給する

続いては、出張手当の活用です。出張においては、取引先との会食や現地での諸費用が発生することがよくあります。それらの費用は、出張者に実費として経費処理させるのではなく、出張手当として処理することで、損金算入することができるため、法人税や消費税などの節税につながります。出張頻度の多い企業では、出張手当による節税は非常に効果的なため、日当を導入しましょう。

ただし、出張手当は、出張旅費規程として整備しないと認められないため、気を付けましょう。

参考:No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い(国税庁)

8. WEB会議を活用する

コロナ以降、WEB会議が浸透しました。Web会議ツールも様々あり、画面越しにコミュニケーションをとることは容易になりました。WEB会議を活用すれば、出張費用や移動に要する時間をゼロに抑えることができます。ただし、サービスの導入時や重要な打ち合わせなど、業務の内容によっては直接会った方が良い場合もあるので、状況に応じてWEB会議と出張を使い分けるとよいでしょう。

その他の出張経費削減方法

9. 出張する曜日を見直す

曜日によって交通費や宿泊費は変わり、移動手段は土曜日・日曜日、宿泊施設は金曜日・土曜日が高くなります。出張経費を削減するためには、平日の火曜日から木曜日を中心に出張することをおすすめします。

10. 複数地域をまとめて訪問する

近隣の都市へ出張する場合は、複数の出張をまとめて一出張として訪問することで、移動費用の削減が期待できます。

間接コストも含めた経費削減のポイント

出張費における経費削減は、直接費の節約だけでなく、間接コストの削減も重要です。特に出張申請、手配、経費精算にかかる業務工数の可視化と適正な出張規程・手当設計による税務メリットが鍵になります。

出張申請・手配・精算にかかる業務工数の可視化

出張に関わる申請や予約、経費精算の作業は多くの時間と労力を要します。これらの業務が分散して非効率に行われている場合、隠れた間接コストが大きく膨らみます。出張管理システムを導入し、申請から手配、精算までのプロセスを一元管理すれば、業務工数の可視化が進み、どの工程で無駄が多いかを特定でき、効率化を図ることができます。例えば、オンライン予約や自動経費精算連携により、従業員および管理部門の負担軽減と工数削減が期待されます。​

出張規程・出張手当設計による税務メリット

出張手当(日当)を適切に設定し、明確な出張旅費規程を整備することは、節税効果をもたらします。出張手当として支給される金額は、法人税や消費税の損金(経費)算入が認められるため、企業の税負担軽減に繋がります。ただし、手当の金額や支給方法は税法の要件を満たし、規程として整備されている必要があります。こうした法令遵守のもとでの手当設計は、無駄な税務リスクを避けつつ節税を実現する有効なポイントです。​

このように間接コストの見える化と法的メリットを活用した規程設計の両輪で、出張費用の効率的な削減が可能となります。企業は直接費だけでなくこの間接的な側面にも注力することで、持続可能な出張費削減につなげることが重要です。

 出張管理システムで実現する経費削減

出張管理システムは、企業の出張に関わる経費削減に大きく貢献します。特に、最適な出張プランの自動提案、規程順守と不正防止、そしてデータの可視化による継続的な見直しという3つの視点が、費用効率化に効果的です。

最適な出張プラン自動提案による出張費削減

出張管理システムは、航空券や宿泊施設、レンタカー等の予約システムと連携し、法人向けの割引運賃やパッケージプランの中から最適な出張プランを自動で提示します。これにより、従来の個別手配に比べてコストの平準化が進み、高額な出張費の抑制が可能です。また、予約変更やキャンセルにも柔軟に対応できるケースが多く、無駄な支出を最小限に抑えます。​

規程順守・不正防止と経費精算の効率化

システム導入により、出張規程に沿った承認プロセスが統制され、不適切な支出や不正利用の抑制につながります。経費精算もレシート添付や自動連携機能により、手間とミスを削減。個人立替えの解消や支払いの透明化が進み、管理部門の業務負荷も軽減されます。これにより、ガバナンス強化と管理コストの削減を同時に実現します。​

データ可視化による継続的な出張費見直し

蓄積された出張データの一覧・分析が可能になるため、出張頻度や交通手段の偏り、部門別の支出傾向などを把握できます。これにより、費用発生の「見える化」が進み、経費の適正化や旅費規程の見直しに役立ちます。定期的な分析を通して、費用削減効果を継続的に高めながら経営改善を支援します。​

以上のように、出張管理システムは費用の無駄を排除し、効率的な出張運用を支えることで、経費削減に大きな効果をもたらします。

 

まとめ

この記事では、出張に係る費用を削減するためのポイントや具体的な施策について解説しました。出張費用の削減と一口に言っても、ただ安いものを選択するのではなく、出張者の負担を意識しながら仕組みから変えていくのが大事です。また、出張経費等の直接経費に加え、出張に伴う申請や精算に伴う従業員の業務負荷など、間接費用も見逃すことができません。

経費削減プロセスを詳解。効果的な出張経費削減方策も紹介します。

少しの工夫で出張経費は削減できます。出張者に身体的負荷をかけずに、出張費用を削減することも可能なので、積極的に経費削減に取り組んでいきましょう。

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