出張においては、交通手段や宿泊施設の手配に加え、出張申請・承認や経費精算など多くの業務があります。こうした業務負担を軽減するのが出張管理システム(BTM)です。この記事では、出張管理システム(BTM)の選定ポイントを紹介するとともに、人気の13製品を紹介します。また、ご希望の方には、製品比較表や選定のための質問シートをご用意したのでよろしければダウンロードください。
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出張管理システム(BTM)とは、出張において必要となる新幹線や航空券などの移動手段や、出張先での宿泊施設・ホテルなどの手配物を出張者と紐づけて一元的に管理し、出張費用の最適化や出張関連業務の効率化を推進するためのシステムです。また、出張業務に必要となる出張申請・承認や経費精算関連の業務を備えたシステムもあります。
欧米では一般的な出張管理システムですが、近年では、日本でも出張手配の新たなサービスとして導入する企業が増加しています。
出張管理システムの基本機能は、システム上で出張手配を行い、それらの出張情報を管理することにありますが、その他にも出張業務に関連する機能を有しています。出張管理システムの主な機能を紹介します。
出張手配 | 新幹線、飛行機、ホテル、レンタカー、保険、WiFiなどをシステム上で一括手配。サービスによって、対応している出張手配物や手配方法は異なる。 |
出張の申請・承認 | ワークフロー機能。上記の出張手配のデータに紐づけて申請・承認を行うことで、出張時における事前申請や承認行為を効率化する。 |
出張旅費規程のチェック | 自社の旅費規程を設定し、規程を満たさない出張手配に対してアラートを表示させる機能。経理部門の業務負担の軽減につながる。 |
出張者情報の管理・検索 | 出張者の滞在地などを日付やエリアで抽出する機能。出張者の安全管理を向上に寄与する。 |
出張費用の可視化 | 出張・月ごとの費用や手配物ごとの費用を確認する機能。出張費用の分析等に活用され、出張費用削減や適正化が期待できる |
出張費用の経費精算 | システム上での予約データを元に経費精算ができる機能。経費精算の入力負荷の軽減が期待される。 |
出張費用の一括請求 | 出張管理システム上から交通手段や宿泊施設を予約することで支払いを一元化する機能。請求処理の負荷や出張者による金銭負担の軽減につながる。 |
従来型の手配方法から出張管理システムの活用に変更した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは出張管理システムを導入するメリットを紹介します。
交通手段や宿泊施設を自分で手配する場合、まずは交通経路を調べて候補を絞り込みこんだ後、最適と思われるフライトや新幹線を選択していきます。その過程では複数のサイトを比べることもあるでしょう。また、出張では日程変更もあるため、変更・取消ルールを確認する必要も発生します。ホテルについても交通手段とは別に同様の作業を行う必要があり、利用者情報なども交通手段と宿泊施設で別々に入力する必要が発生します。
一方、出張管理システムを利用した場合は、一つのサイトで航空券やホテルの情報を予約することが可能です。さらに旅行スタッフが常駐しているタイプの場合は、旅程に合わせて候補を選定や手配の代行をしてくれるので探索の手間が大幅に軽減できます。
出張においては、航空券やホテルを選んで終わりではなく、出張申請や経費精算を行う必要があります。また、業務負荷は出張者だけでなく、管理部門にも及びます。例えば、経理部門は旅費規程の遵守確認などを行っています。出張管理システムを利用すれば、出張申請機能や経費精算データをインポート・エクスポートする機能があるため、出張関連業務を効率化することが可能になります。
出張手配が各自によってバラバラに行われている、あるいは、非デジタルな手法によって行われている場合、出張費用に関するデータを収集することは難しく、費用の分析を行うことは困難と言わざるを得ません。
一方、出張管理システムを導入した場合は、出張費用に関するデータが手配とともに収集・整理されるため、企業はいつでも分析を行うことができます。その結果、出張費の傾向分析や削減への改善案を検討することが可能です。
出張時では、訪問先でトラブルが発生する可能性があります。特に海外でトラブルが発生した場合は、会社側によるサポートが不可欠です。出張管理システムを導入している場合、出張データが管理されているため当該エリアに誰が出張しているかなどが確認でき、対応までの初動を早めることができます。
多くの会社では、出張旅費規程が存在しますが、人力でのチェックには限界があり、旅費規程を満たしていないのに誤って承認してしまうケースなどもあります。また、個々人で手配しているとカラ出張などの不正を検知することは困難です。出張管理システムを利用した場合、旅費規程の自動判定ができるだけでなく、経費の指摘利用防止につながります。
出張費用の立替は、従業員に金銭的な負担を強いるため重要な課題となっています。また、出張立替を回避するために仮払いなどを導入するケースもありますが、仮払いを導入した場合、今度は経理担当者の負荷がかかります。出張管理システムにおいては、支払いは企業単位で一括支払いとなるため、従業員による出張費用の立替を回避することが可能になります。
出張管理システムの導入を検討すると、様々なサービスがあることに気が付くと思います。自社にあった出張管理システムを選ぶためにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは出張管理システムを選ぶ際のポイントを紹介します。
出張管理システムの多くは、航空券や宿泊施設の予約サイトと連携しており、どのサイトと連携しているかによって利用可能な手配数が変わってきます。そのため、まずはどのサイトと連携しているかを確認するとよいでしょう。
また、海外出張の多い企業は、交通機関や宿泊施設の他に必要となるWiFiや保険、レンタカーなどの手配にも対応しているか確認しておくとよいでしょう。一つのサイトで手配が可能であれば、出張者の手間が軽減できると共に、支払いも一括で行うことが可能になります。
出張手配方法は、出張者自身が検索する方法が一般的ですが、不慣れな土地への出張などでは不安もあろうかと思います。そういった場合に有人で出張手配代行するスタッフの有無を確認しましょう。有人対応といっても、カスタマーサポートのような支援なのか、経路の相談などに乗ってくれるのかによってサービスの質が異なるので気を付けましょう。また、有人対応がある場合は、対応可能な時間も確認しましょう。
出張では現地でトラブルが発生する場合があります。特に海外出張においては、トラブル時のフォローが必要不可欠です。そうした場合に、フォローアップの体制があるかを確認しておきましょう。
出張管理システムは、出張者自身が利用するため、出張者にとって使いやすい操作性になっているかを確認しておきましょう。また、出張手配機能は、ポータルサイトのように、航空会社やホテル予約などの他サイトに遷移するタイプと、サイト内で予約完結できるタイプに分かれており、後者のほうが出張者の負担は少なくなります。
出張管理システムを導入する目的の一つに出張関連業務の業務効率化があります。出張者の業務としては、出張申請や経費精算などがあります。一方、出張管理者の業務としては、出張申請の承認や旅費規程の遵守確認などがあります。出張管理システムの選定にあたっては、改善したい出張関連業務の機能が備わっているかを確認しましょう。
出張においては出張管理システムとは別に、経費精算システムやワークフローシステムを活用する必要があります。出張費用の精算においては、出張管理システムと経費精算システムが連動している、あるいは、データのエクスポート・インポートが容易にできれば業務効率は各段に改善します。
出張申請・承認などのワークフローについても同様であり、出張管理システムがどのサービスと連動しているかは重要な選定ポイントになります。
出張管理システムは、システムによって料金体系が異なります。月額料金型と従量課金型の2タイプに大きく分けることができます。また、月額料金型の中には、複数の利用プランがあり、プランごとに月額料金が異なる出張管理システムもあります。自社の出張頻度が少ない場合や出張頻度にバラツキがある場合は従量課金型が良いでしょう。
さらに、初期費用が発生するシステムとそうでない費用があるので、初期費用の有無についても事前に確認しておきましょう。
最後は支払い方法です。出張管理システムでは、請求書による支払いが一般的ですが、締めのサイクルはサービスによって異なります。締めのサイクルは、都度払い、週締め、10日締め、月締めの4パターンがあります。出張管理システムによりサイクルは異なるので事前に確認するとよいでしょう。
また、クレジットカード払いに対応しているかも事前に確認しておきましょう。
ここでは現在、日本国内で提供されている主要な出張管理システムを紹介します。
株式会社JTBビジネストラベルソリューションズが提供する「J’sNAVI NEO」は経費精算が主たる機能ですが、大手旅行代理店であるJTBが提供する出張管理システムを利用することが可能です。J’sNAVI NEOでは、新幹線や航空機、ホテル、レンタカーの手配が可能です。電子帳簿保存法にも対応した経費精算システムと連動しているため、経費精算周りの業務効率化が期待できます。
システムは、クラウド型と企業内システムの2つが用意されているので、自社の運用方針に合わせて選定しましょう。
大手旅行会社HIS社が提供する法人向けの出張手配管理システムです。海外航空券に強みを有し自社のHIS BIZと連携しているほか、宿泊施設や国内航空券なども他社と連携することでカバーしています。出張管理機能についても、出張ワークフローや旅費規程の反映など、企業が求める機能を有しています。また、海外拠点が多いことから危機管理やリスクマネジメントにも定評があります。
楽天グループ株式会社が提供する「Racco」は、宿泊サイト「楽天トラベル」の法人版であり、宿泊予約にすぐれた出張管理システムです。登録宿泊施設数は、国内最大級であり、出張者にとって最適な宿泊先が見つかるでしょう。また、宿泊施設の他、国内パッケージなどを予約することも可能です。機能面では、出張規程の適用や宿泊実績の一元管理機能があります。
株式会社リクルートが提供する「じゃらんコーポレートサービス」は、宿泊サイト「じゃらんnet」の法人版であり、宿泊予約にすぐれた出張管理システムです。
登録宿泊施設数は、Racco同様、国内最大級であり、出張者にとって最適な宿泊先が見つかるでしょう。また、宿泊実績などは管理画面で一元管理することが可能です。
コンカーといえば経費精算システムをイメージする方が多いと思いますが、Concur Travelは、コンカー社が提供する経費精算システムと連動した出張管理システムです。モバイルアプリを利用して、外出先からも出張手配や予約、旅程変更などの出張管理が可能です。
経費精算との連携が充実しており、出張申請から経費精算までの業務効率化が期待できます。
「出張なび」は株式会社日本旅行が提供しています。新幹線・飛行機・宿泊・レンタカーを対象に専用サイトから予約することができます。また、「エクスプレス予約」や「e5489コーポレートサービス」との連携が可能です(契約に条件あり)。国内航空券はJAL・ANAに加え、スターフライヤー、スカイマーク等とも連携しています。宿泊施設はじゃらん及びベストリザーブと連携しています。
また、経費精算システム「Concur Expense」にデータ連携することもでき経理業務にも貢献します。
イオンコンパス株式会社が提供する「BT-Compass」は、国内出張に特化したサービスであり、航空券、新幹線、宿泊施設の予約を行うことができます。また、JRに関しては 法人専用の「エクスプレス予約」、JALに関してはJALオンラインと連携しています。
管理機能としては、利用実績の一覧把握などがあります。また、支払いに関しては、すべて一括請求なので出張者による立替負担がありません。
株式会社南海国際旅行が提供する「BTOL」では、国内出張に関しては、国内航空券、新幹線、国内宿泊、ダイナミックパック、国内レンタカーのオンライン予約が可能です。シングルサインオンに対応しており、サイトごとに再ログインする手間がありません。一方、海外出張については、メールリクエストにより対応しています。
企業一括請求となるため、出張者の立替払いの負担が軽減されます。
株式会社エルクが提供する「出張手配プラス」は、国内出張・海外出張の様々な手配物に対応する出張管理システムです。JR券(新幹線)1枚から対応可能で切符を買いに駅まで往復する手間を省いてくれます。一方、海外出張の場合は、査証申請から通訳、WiFiまでカバーしています。
管理面では、出張承認機能や利用実績の検索機能などが備わっています。
株式会社AIトラベルが提供する「AI Travel」は、出張の申請・手配・経費精算を一元管理できるクラウドサービスです。乗換案内アプリのように手配要件を一度入力するだけで、国内・海外のホテル・飛行機・新幹線をまとめて検索することが可能です。
また、部署・役職ごとに設定した会社の旅費規程に沿ったプランが表示されるので、コンプライアンスの強化にもつながります。
さらに、「楽楽精算」「マネーフォワード クラウド」「freee」とのAPI連携も可能です。
株式会社IACEトラベルが提供する「Smart BTM」は、国内・海外の両出張に対応した出張管理システムです。オンライン予約の他、必要に応じて電話による対応が可能です。また、出張先でトラブルが発生した場合にも、24時間体制でオペレーターが対応するため、危機管理の強化に役立ちます。
株式会社ピカパカが提供する「ピカパカBTM」は、国内出張・海外出張に対応したクラウド型の法人出張サポートサービスです。国内出張に関しては、新幹線、航空券、ホテル、レンタカーに対応し、オンラインでの予約が可能です。海外出張に関しては、航空券及び宿泊施設に対応しており、リクエストフォームへの依頼を通じた手配が可能です。
ボーダー株式会社が提供する「BORDER」は、テクノロジーとオリジナルのチャットシステムが特徴の出張管理システムです。
対応する手配物は、国内出張であれば新幹線・飛行機・宿泊施設・レンタカーをカバーしています。海外出張については、飛行機・宿泊施設・レンタカーに加え、WiFi、保険、通訳・ビザなど幅広い手配物を一か所で依頼し、精算できる点が特徴です。
手配方法は、出張者自身で予約する方法と旅行スタッフに相談しながら手配する方法から選べます。なお、旅行スタッフとのやりとりは独自のチャットシステムを活用しており、素早くフォローの効いた対応が評判です。
機能に関しては、出張申請や旅費規程の登録、出張者の位置情報の可視化などがあります。また、経費精算に関しては「SAP CONCUR」と連携しており、シームレスな経費精算が期待できます。
初期費用や月額料金はなく、使用した分だけ手配手数料が発生するので出張の少ない企業や出張頻度にばらつきのある企業にもおすすめです。
これまで紹介した13の出張管理システムにそれぞれ特徴があるように、導入を検討する企業側の出張にも特徴があります。例えば、国内出張が多いなら国内出張に関する手配物が充実した企業を選ぶべきです。また、出張者の安全を重視したい場合は、緊急時のサポート体制で判断するとよいでしょう。
そこで本記事では、今回紹介した13の出張管理システムについて選定ポイントごとに整理した一覧表を作成しました。また、選定にあたっての確認シートもご用意しました。こちらをご覧いただければ、各社の出張管理システムが知るとともに、システム提供会社に確認すべき質問項目も把握できます。
ご興味のある方はこちらからダウンロードできるので是非、アクセスください。
ダウンロードは、法人の方がからのお問合せに限定させていただいております。
出張管理システム(BTM)選定キット
出張管理システムの一覧表と選定の視点がセットになっています。
このキットを活用することで、御社に最適な出張管理システムの選定が可能になります。
いかがでしたか。出張関連業務は、経理業務などのように明確になっていないがゆえに、業務改善の対象として見落とされがちです。出張管理システムを活用することで、出張手配だけでなく、出張管理業務の業務負荷が大幅に軽減されるので、これを機にご検討されることをお勧めします。