法人に伴う旅行といえば、業務に伴う出張に加えて、社員旅行や慰安旅行、研修旅行、視察旅行などがあります。皆さんは、社員旅行と慰安旅行の違いはご存じですか。両者は目的により区別されています。この記事では、それぞれの旅行の違いについて整理します。さらに、各旅行の費用に関する経費処理の方法について解説します。
社員旅行と慰安旅行は同じものだと思っている方も多いかと思いますが、両者の旅行の目的は異なります。
社員旅行は、スキル・知識の向上や社員間のコミュニケーションの活性化を目的としており、仕事の延長に近い性質を持っています。一方、慰安旅行は、従業員に対し、日々の頑張りを労い、心身共にリフレッシュさせることを目的としています。社員旅行にはスキル向上のためのイベントが必要なのに対し、慰安旅行はそういった行事が不要な点が特徴です。
その他の旅行タイプについても触れておきましょう。研修旅行は、従業員のスキルアップを目的とした旅行を指します。視察旅行は、事業の開発や業績向上を目的に実施されるものとなります。
社員旅行のタイプ | 社員旅行の目的 |
---|---|
社員旅行 | スキル・知識の向上、社員間のコミュニケーションの活性化 |
慰安旅行 | 日々の労い、心身のリフレッシュ |
研修旅行 | 従業員のスキルアップ |
視察旅行 | 事業の開発や業績向上 |
国税庁では、社員旅行に関する税務上の取り扱いについて、従業員レクリエーション旅行と研修旅行に分けて整理しています。
先ほどお伝えした社員旅行のタイプを分けると以下の通りに整理できます。
国税庁の分類 | 社員旅行のタイプ |
---|---|
従業員レクリエーション旅行 | 社員旅行慰安旅行 |
研修旅行 | 研修旅行視察旅行 |
以下では、国税庁の分類ごとの適用条件について整理します。
従業員レクリエーション旅行については、社会通念上一般的に行われていると認められるものであれば、「福利厚生費」として処理することが可能です。ただし、その範囲を超えると判断される場合は、給与として課税(源泉徴収が必要)されます。
なお、上記の要件を満たしても、下記に該当する場合は、給与等として処理する必要があります。
社員合宿、従業員の研修、視察旅行の場合、事業のために使った旅費は「旅費交通費」として計上でき、全額損金算入が可能です。また、従業員に給与として課税されません。なお、対象となるのは、会社の業務を行うために直接必要な部分のみです。直接必要でない部分の費用については、参加した従業員の給与として処理します(課税対象)。
直接必要でない旅行としては、下記のような場合が挙げられます。
参考:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm
前述の通り、慰安旅行の勘定科目は「福利厚生費」です。「福利厚生費」とは、従業員の労働環境を整備するために支出する費用を指し、「住宅手当」や「各種保険料」「慶弔見舞金」などがあげられます。慰安旅行において、福利厚生費として計上できる費用は下記のようなものが上げられます。
なお、慰安旅行においては、計上の妥当性が重要となってきます。そのため、慰安旅行後は、下記の証拠を残しておくようにしましょう。
出張時の日当は課税対象?勘定科目や仕訳方法を解説”>出張時の日当は課税対象?勘定科目や仕訳方法を解説
いかがでしたか?リモートワークが進む中、社員間の結束を強める方法として注目を浴びているのが社員旅行です。
今後、社内で社員旅行を検討する際の参考になれば幸いです。