資料ダウンロード
ログイン

宿泊税の勘定科目は?宿泊税の基本から精算・会計の流れを解説

投稿日:2022.12.14 / 最終更新日:2025.09.18

出張におけるホテル手配のまとめページはこちら

出張時のホテル手配のまとめ:宿泊相場からホテル選定方法、精算の流れを解説

宿泊税とは、ホテルや旅館などで宿泊をすると発生する税金です。出張で宿泊した際に「ホテル代は予約時に支払ったけど、さらに宿泊税もかかるの?」と驚かれる方もいるでしょう。宿泊税は地域の観光価値向上のために自治体単位で徴収する税金です。また、宿泊施設で関連する税金としては、その他に入湯税もあります。入湯税は、温泉施設がある市町村が、温泉を利用する入浴客に対して課税する地方税法に定める市町村税です。本記事では、宿泊税及び入湯税について具体的な金額や勘定科目等について解説します。

宿泊税とは

宿泊税とは「地方税」に分類され、地方自治体が徴収する税金です。税の目的としては、地方自治体が観光資源の整備や地域活性化を目的都市、宿泊施設に滞在する顧客に貸す税金として導入されています。宿泊者が、ホテルなどに支払い、そのホテルなどが地方自治体に税を納めます。

宿泊税の適用基準

宿泊税は、宿泊料金に基づいて課される税金であり、1泊あたりの料金が一定額を超える場合に課税対象となります。

ただし、目的や特定の施設においては対象外となる場合もあります。例えば、学校行事に伴う宿泊や民泊の利用については課税対象外となるケースがあります。なお、基準は自治体によって異なりますので最新動向を把握しておきましょう。宿泊税の基準に関する詳細は、自治体に掲載されています。

参考:東京都主税局/宿泊税(一般の方へ)

徴収した宿泊税は何に使われる?

宿泊税を一番最初に始めた東京都では、インバウンドに対しての観光事業者の支援や人材育成、多種多様の文化・習慣に対応した設備環境の向上、観光地のライトアップの導入などに使われています。また、日本の文化を感じる京都では、文化振興、公共交通機関の混雑対策などより観光に特化した分野で用いられています。そして、福岡県では、バリアフリーの整備、災害対応強化などにも使われています。このように、宿泊税は観光における様々な分野で活用されています。

自治体ごとの宿泊税の概要

宿泊税は2002年から始まりました。初めて導入した自治体は東京都で、その10年後の2017年に大阪府、現在は全国へ導入の動きが広がっています。2025年9月時点では、17の自治体が宿泊税を定めています。

宿泊税を導入している自治体(2025年9月時点)

自治体名導入時期
東京都2002年10月1日
大阪府2017年1月1日
京都市(京都府)2018年10月1日
金沢市(石川県)2019年4月1日
倶知安町(北海道)2019年11月1日
福岡市(福岡県)2020年4月1日
北九州市(福岡県)2020年4月1日
福岡県2020年4月1日
長崎市(長崎県)2023年4月1日
ニセコ町(北海道)2024年11月1日
常滑市(愛知県)2025年1月6日
熱海市(静岡県)2025年4月1日
下呂市(岐阜県)2025年10月1日
高山市(岐阜県)2025年10月1日
赤井川村(北海道)2025年11月1日
松江市(島根県)2025年12月1日
宮城県2026年1月13日

自治体ごとの宿泊税の料金

宿泊税の課税額は自治体ごとに税率が異なり、「素泊まりの料金が●●円以上は課税、●●円未満の場合は非課税」などと分類しています。また、適用対象も自治体によって異なるので詳細はそれぞれの自治体のホームページをご覧ください。以下では、導入済の自治体における宿泊税を紹介します。料金は、1人1泊あたりの料金となります。

東京都

東京都の宿泊税の対象は、旅館業法に規定する旅館・ホテル営業の許可を受けた宿泊施設です。民泊などは対象外です。

10,000円~14,999円100円
15,000円以上200円

東京都(東京都主税局HP)

大阪府(大阪府HP)

大阪府の宿泊税の対象は、旅館業法に規定する旅館・ホテル営業の許可を受けた宿泊施設に加えて簡易宿泊所や民泊も対象となります。なお、宿泊税は、2025年9月1日の宿泊から改定されました。

※2025年8月31日宿泊分まで

7,000円~14,999円100円
15,000円~19,999円200円
20,000円以上300円

※2025年9月1日以降宿泊分は下記内容に改正

5,000円~14,999円200円
15,000円~19,999円400円
20,000円以上500円

大阪府(大阪府HP)

京都府京都市

京都府京都市についても大阪府と同様に、旅館・ホテルに加え簡易宿泊所や民泊も宿泊税の対象となりますが、非課税枠はありません。

~19,999円200円
20,000円~49,999円500円
50,000円以上1,000円

京都府京都市(京都市HP)

石川県金沢市

石川県金沢市は京都府京都市と同様に、旅館・ホテルに加え簡易宿泊所や民泊も宿泊税の対象となり非課税枠もありませんが、税率の区分けが20,000円のみとなります。

5,000円~19,999円200円
20,000円以上500円

石川県金沢市(金沢市HP)

北海道虻田郡俱知安町

北海道倶知安町の宿泊税の対象は、旅館・ホテルに加え簡易宿泊所や民泊も宿泊税の対象となります。非課税枠はなく税率も定率になります。

宿泊料金の2%

北海道虻田郡俱知安町(俱知安町HP)

福岡県

福岡県の宿泊税の対象は、旅館・ホテルに加え簡易宿泊所や民泊も宿泊税の対象となり非課税枠もありませんが、福岡市、北九州市は県と市の二重課税となります。

福岡県福岡市

~19,999円200円(県税50円含む)
20,000円以上500円(県税50円含む)

福岡県福岡市(福岡市HP)

福岡県北九州市

宿泊料金にかかわらず200円(県税50円含む)

福岡県北九州市(北九州市HP)

福岡県(福岡市、北九州市以外)

宿泊料金にかかわらず200円

福岡県(福岡市、北九州市以外)(福岡県HP)

長崎県長崎市

長崎県長崎市も、旅館・ホテルに加え簡易宿泊所や民泊も宿泊税の対象となり非課税枠もありませんが、修学旅行や学校行事での宿泊の場合は免除となります。

~9,999円100円
10,000円~19,999円200円
20,000円以上500円

長崎県長崎市(長崎市HP)

北海道虻田郡ニセコ町

北海道虻田郡ニセコ町の宿泊税は、宿泊料金によって異なります。詳細は下記のとおりです。

~5,000円100円
5,001円~19,999円200円
20,000円~49,999円500円
50,000円~99,999円1,000円
100,000円以上2,000円

北海道虻田郡ニセコ町(ニセコ町HP)

愛知県常滑市

愛知県常滑市の宿泊税は、宿泊料金にかかわらず一律200円です。

宿泊料金にかかわらず200円

愛知県常滑市(常滑市HP)

静岡県熱海市

静岡県熱海市の宿泊税は、宿泊料金によって異なります。詳細は下記のとおりです。また、小学生以下のお子様は課税の対象となりません

宿泊料金にかかわらず200円

静岡県熱海市(熱海市HP)

岐阜県下呂市

岐阜県下呂市の宿泊税は、宿泊料金によって異なります。詳細は下記のとおりです。また、小学生以下のお子様は課税の対象となりません

~4,999円100円
5,000円~200円

岐阜県下呂市(下呂市HP)

岐阜県高山市

岐阜県高山市の宿泊税は、宿泊料金によって異なります。詳細は下記のとおりです。また、小学生以下のお子様は課税の対象となりません

~9,999円100円
10,000円~29,999円200円
30,000円以上300円

岐阜県高山市(高山市HP)

北海道赤井川村

北海道赤井川村の宿泊税は、宿泊料金によって異なります。詳細は下記のとおりです。

8,000円~19,999円200円
20,000円以上500円

北海道赤井川村(赤井川村HP)

島根県松江市

島根県松江市の宿泊税は、宿泊料金にかかわらず一律200円です。

5,000円~200円

島根県松江市(松江市HP)

宮城県

宮城県の宿泊税は、宿泊料金にかかわらず一律300円です。

6,000円~300円(宮城県分100円・仙台市分200円)

宮城県(宮城県HP)

宿泊税の使用使途

宿泊税の勘定科目

宿泊税の勘定科目は、原則、租税公課として仕訳します。ただし、宿泊施設の請求書や領収書には、宿泊税の記載がある場合とそうでない場合があります。記載がある場合は租税公課と記載すればよいですが、ない場合はどうしたらよいでしょう。以下では、宿泊税に関する記載のあるなしに分けて勘定科目を解説します。

領収書等に宿泊税の記載がある場合の勘定科目

宿泊施設の請求書や領収書に宿泊税の記載がある場合の勘定科目は、租税公課になります。具体的な仕訳の例を見てみましょう。

例:宿泊費(ホテル代)11,000円(うち消費税 10% 1,000円)、宿泊税200円の合計11,200円をホテルに現金で支払った。

借方金額貸方金額
旅費交通費(課税仕入)11,000現金11,200
租税公課(不課税仕入)200

領収書等に宿泊税の記載がない場合の勘定科目

請求書や領収書に宿泊税の記載がない場合は、旅費交通費として処理することが一般的です。この場合、宿泊費を含め支払った全額を課税仕入れとして計上することが可能です。具体的な例は以下の通りです。

例:宿泊費(ホテル代)11,200円を支払った。領収書には宿泊税の記載はなかった。

借方金額貸方金額
旅費交通費(課税仕入)11,200現金11,200

宿泊税の消費税の取り扱い

ホテルの宿泊費用には消費税がかかりますが、宿泊税は消費税の対象外となります。冒頭で解説したように宿泊税は地方自治体に収められるものであるため、ホテルを利用した対価として支払うものではありません。そのため課税の4要件に該当せず、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

【消費税の対象となる要件】
1. 国内において行うものであること
2. 事業者が事業として行うものであること
3. 対価を得て行うものであること
4. 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

ただし、請求書や領収書に宿泊税の記載がない場合は、宿泊税の区別がつかないため、宿泊費を含め支払った全額を課税仕入れとして計上します。

出張費の費目や課税・不課税について知りたい方はこちらをご覧ください。

入湯税とは

入湯税とは、温泉を利用した場合に支払う税金 のことです。宿泊施設に温泉施設が備わっている場合は、宿泊の際に入湯税を支払う必要があります。入湯税は温泉の周りの環境改善のために徴収される市町村税であり、施設の運営者が宿泊者に代わって納めます。

総務省が原則定めている入湯税は「150円」ですが、実際は市区町村によって異なり、それぞれの市区町村で独自に定めることもできます。

入湯税の勘定科目や消費税の取り扱い

入湯税の勘定科目や消費税の取り扱いについては、原則、宿泊税と同じと考えてよいでしょう。つまり、ホテル側の領収書に入湯税の記載があるか否かによって勘定科目や消費税の取り扱いが異なってきます。以下では、領収書の記載内容別に仕分けの事例を紹介します。

領収書等に入湯税の記載がある場合の会計処理

宿泊施設の請求書や領収書に入湯税の記載がある場合の勘定科目は、租税公課になります。

例:宿泊費(ホテル代)11,000円(うち消費税 10% 1,000円)、宿泊税200円、入湯税150円の合計11,350円をホテルに現金で支払った。

借方金額貸方金額
旅費交通費(課税仕入)11,000現金11,350
租税公課(不課税仕入)200
租税公課(不課税仕入)150

領収書等に入湯税の記載がない場合の会計処理

請求書や領収書に宿泊税の記載がない場合は、宿泊費を含め支払った全額を課税仕入れとして計上することが可能です。その場合の勘定科目は、旅費交通費になります。

宿泊施設の請求書や領収書に宿泊税の記載がある場合の勘定科目は、租税公課になります。

例:宿泊費(ホテル代)11,350円を支払った。領収書には宿泊税や入湯税の記載はなかった。

借方金額貸方金額
旅費交通費(課税仕入)11,350現金11,350

上記のように、宿泊税や入湯税は、明らかになっている場合とそうでない場合で異なる勘定科目を用いて経費処理する必要があります。

宿泊税や入湯税、リゾートFeeに関する注意点

現地払いが原則

宿泊税や入湯税は原則、現地での支払いとなります。オンライン予約サイトでホテルを予約し、事前払いをした場合も現地請求があるので気を付けましょう。同様に、海外では、リゾートフィーという名目で、各ホテルが独自に設けている追加費用が存在します。リゾートフィーはハワイやラスベガスなどでは一般的であり、現地払いが原則になるので事前に確認しましょう。そのため、宿泊先で宿泊税を支払ったら、必ず領収書をもらい社内で精算しましょう。

宿泊費との区分を明確にする

宿泊税は、地方自治体が課す税金であり、宿泊施設は顧客から一時的に預かっているにすぎません。そのため、仕訳における勘定科目も租税公課となり、宿泊費とは異なります。特に領収書に宿泊税が明記されている場合は、宿泊費と明確に区分して仕訳しましょう。

自治体ごとの宿泊税のルールを確認

宿泊税は自治体ごとに異なります。近年、仕訳ソフトでは自動仕分けが行われますが、宿泊税を自動で取り込んでしまうと金額の誤りなどが発生しえます。そのため、目視でのチェックを必ず行い、自治体の最新の課税基準に適しているか確認しましょう。

さいごに

インバウンドの影響もあり、宿泊税を導入する自治体は増加しています。一方で、それぞれの自治体により宿泊税の課税ルールは異なり、企業側の仕訳も注意が必要です。ホテルの予約をする際は、宿泊税の有無も併せて確認し宿泊先を選択しましょう。

出張手配・管理にお困りの企業様向け:出張支援クラウド BORDERのサービス概要資料を無料配布中です。

■BORDERのサービス概要資料のダウンロード

出張支援クラウド BORDERを活用して、出張業務の効率化とコスト削減を実現しませんか?

  • サービスの機能
  • 導入実績・お客様の声
  • 料金プラン

© Copyright 2025 ボーダー株式会社 All rights reserved.