新型コロナウイルスをきっかけに、テレワークやワーケーションなど、働き方の多様化が進んでいます。そして、働き方の多様化は出張領域にも及んでおり、欧米を中心に広がっているのが、「ブリージャー(Bleisure)」です。
ブリージャー(Bleisure)とは、ビジネス(Business)とレジャー(Leisure)を組み合わせて作られた造語であり、出張の前後に、休暇を取得し、出張先での観光や休息を楽しむ制度のことを指します。
例えば、1泊2日で沖縄出張が発生した場合に、一日有給を取得して2泊3日の行程に変え、3日目を休暇として現地での滞在を楽しむ制度のことです。
ブリージャーは、日本ではあまり馴染みのない制度ですが、欧米ではビジネストラベルの新たなトレンドとして注目されています。Bleisureのためのホテルを提供するGreat Hotels of the Worldの調査によると、75%の出張者が「休暇のためにホテルの延泊をしたことがある」と回答しています。
この記事では、ブリージャーのメリットと制度導入手順について解説します。
出張の新しい形として注目を集めているブリージャーのメリットを紹介します。
1つ目のメリットとしては、出張者の満足度向上が挙げられます。出張は時間的拘束が長くなる傾向にあり、早朝に出発し、深夜に帰宅することもあります。遠方の出張の場合、スケジュールの都合により、帰宅が翌日になり、休日に影響を与える場合もあります。また、身体的な負担も大きく、業務終了後の疲れが大きくなる傾向にあります。
それに対して、ブリージャーを採用している企業の出張者は、出張中に観光やレジャーを楽しむことができます。仕事が終わった後に急いで帰宅するのではなく、ゆったりと現地の食事や名所を楽しむことによって、心身ともに充実した状態となり、出張を大変なものから楽しいものへと転換させることが可能です。
出張エリアの食事や観光名所などを知ることによって、出張時の訪問先企業との距離を縮めることが期待できます。地域を知ることで顧客との会話も弾み、商談の成功率も高まることでしょう。
前述の通り、出張は通常業務と比べて身体的な負担が大きくなりがちです。そのため、出張後は疲れが抜けず、パフォーマンスが低下する傾向にあります。
ブリージャーを導入すると、出張者に英気を養う機会を提供することになりモチベーションを高め、出張後も普段と変わらないパフォーマンスを発揮できるようになります。
ブリージャーは新しい働き方を望む人々にとって、非常に魅力的な制度であり、採用にもポジティブな影響を与えます。しかし、日本においては制度を取り入れている企業が少ないため、導入したくても導入できない企業もいると言われています。ここではブリージャーの導入手順について解説します。
ブリージャーの規則は、出張規程・出張旅費規程に反映する必要があります。主要な論点は以下の通りです。
これらの論点について企業としての方針を定めましょう。
出張者がブリージャーを申請する場合の申請方法及び承認プロセスを定めます。
出張申請のワークフローについて知りたい方はこちらをご覧ください。
出張フロー全書:出張命令から出張申請、出張報告までの一連の流れを解説
上記の内容をもとに出張規程を加筆・修正します。
出張規程の書き方について知りたい方はこちらをご覧ください。
社内におけるブリージャーの制度が定まったら、従業員に周知しましょう。
働き方の多様化が進む中、従業員に機会を提供することは採用力の強化にもつながります。従業員が楽しく働き、ハイパフォーマンスを発揮するための手段として、ブリージャーを検討してみてはいかがでしょうか。