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【海外出張手配のいろは/準備編】予防接種・トラベルクリニックの利用
投稿日:2022.04.19 / 最終更新日:2023.01.26

【海外出張手配のいろは/準備編】予防接種・トラベルクリニックの利用

海外出張の準備では、パスポートや航空券の手配をイメージしがちですが、ワクチン接種も重要です。渡航者の健康を守り、入国や滞在の手続きを滞りなく進めるために欠かせません。海外では日本にはない感染症が流行していたり、対策や証明書が必須となっている場合もありますが、馴染みも薄く分からない方も多いのではないでしょうか。コロナ禍ではPCR検査の陰性証明書やワクチン接種の証明書の提出が義務付けられていることもあります。

本記事では、予防接種における注意点やトラベルクリニックの役割について解説します。

トラベルクリニック(海外渡航専門外来)とは

トラベルクリニック(海外渡航専門外来)とは、海外に行く方、海外で生活する方の健康を出国前から帰国後まで総合的にサポートし、医療サービスを提供する診療科です。呼称は、総合内科や感染症内科、渡航外来など医院によって様々です。

予防接種については、後述します。

トラベルクリニックで出来ること

トラベルクリニックでは、主に以下の医療サービスを提供しています。

渡航前後の健康相談

渡航者に持病がある場合の現地での治療先の紹介や帰国後の健康相談を受けます。海外生活では、食生活や気候、気圧、日照時間などの変化により体調を崩す方が少なくありません。出発前の不安をなくし、帰国後も気軽に受診できるようなかかりつけ医がいると安心です。

予防接種の実施

ワクチン接種を行います。使用するワクチンは国産品と輸入品があります。輸入品の場合は在庫に限りがあるため、予約制限がかかっていることもしばしばあります。

クリニックによって、取り扱っているワクチンの種類や接種可能日、人数が違うため、ウェブサイトや電話で事前に調べましょう。

予防薬の処方

感染症対策には、予防接種だけではなく内服による予防もあります。服薬による副作用もあるので、医師へ相談しましょう。

健康診断、抗体量検査

各種健康診断に加え、感染症への抗体量検査を行います。日本では生後間もない時から青年になるまでに数多くの予防接種が行われていますが、加齢とともに抗体量が減少していきます。検査結果から追加接種が必要になる可能性もあるので早めに受診しましょう。

診断書や証明書の作成

健康に関する診断書やワクチンの接種証明書を発行します。ビザの取得や入国時に提出する場合は、指定の言語や書式での作成が必要な場合も多く、一般の診療科や健康診断センターでは対応しきれません。

特に新型コロナウイルスでは、検査方法まで言及されていることもあるのでトラベルクリニックに依頼する方が無難でしょう。

帰国後の感染症の検査や治療

帰国後の健康相談や治療を行います。帰国後の体調不良はよくあることですが、海外由来の感染症によるものかどうかは一般の診療科では判断しづらいこともあります。輸入感染症かどうかの診断は診療経験のある専門医に任せると安心です。

予防接種(トラベラーズワクチン)とは

予防接種(トラベラーズワクチン)とは、現地滞在中に感染症から身を守り、周囲の人へ感染を広めないために必要なものです。入国の際に特定のワクチン接種が義務付けられていたり、幼少期に接種済みのワクチンでも抗体量の減少により追加の接種が必要な場合もあります。

予防接種で気を付けるポイント

予防接種において気を付けておきたいポイントは以下の通りです。

接種完了にかかる期間・回数

予防接種は複数回の接種が必要な場合があります。接種間隔を短縮すると適切な効果を得られにくく、接種完了には十分な時間を見積もらなければなりません。

また、接種が完了したとしても満足いく抗体量を獲得するまでに日数がかかることもあるので、渡航日から逆算して接種を受けましょう。

接種の組み合わせ

予防接種は受けたい日に受けたい種類を受けられるわけではありません。生ワクチンの場合は次回の接種まで一定の期間を空ける必要があります。

複数回の接種が必要なワクチンも多いので、最短のスケジュール、最小の訪問回数で受けられるように医師と相談することが大切です。

接種証明書・陰性証明書の様式

ビザの取得や入国時の提出が必要な場合は、証明書の書式や言語が指定されていることがあります。受診するクリニックで対応が可能かどうかを事前に問い合わせましょう。

(例)中国の新型コロナウイルスの陰性証明書フォーマット

中国の新型コロナウイルスの陰性証明書フォーマット

参考:中華人民共和国駐日日本大使館

 

ワクチンの主な種類

主な予防接種や予防薬を紹介します。渡航要件やワクチンのメーカーによって以下の情報は変わります。

感染症 接種推奨 接種回数

破傷風・百日咳・

ジフテリア・麻疹・風疹・

おたふく風邪・水痘

全員 1~3回
A型肝炎 開発途上国へ渡航される方 1~3回
B型肝炎

渡航先を問わず、

1か月以上滞在される方

3回
腸チフス 開発途上国、特に南アジアやアフリカへ渡航される方 1回
狂犬病

開発途上国および北アメリカに渡航し、

哺乳類との接触の可能性がある方

2~3回
日本脳炎 東・東南・南アジアへ渡航される方 1~3回
ポリオ アジア(特に南・西アジア)、アフリカへ渡航される方 1~4回
髄膜炎菌性髄膜炎 西・中央・東アフリカ、西アジアへ渡航される方 1~2回

コレラ・旅行者下痢症

南アジア、西・中央・東アフリカなど開発途上国へ渡航される方 2回
ダニ媒介性脳炎

東ヨーロッパやその周辺地域へ渡航され、

森林地帯に行く可能性がある方

2~3回
黄熱 西・中央・東アフリカ、中央・南アメリカへ渡航される方 1回
高山病(予防薬) 高地へ行かれる方

一定期間の内服

マラリア(予防薬) 蚊が多い地域に行かれる方 継続的な内服

ワクチン接種についてよくある質問

渡航までに接種が間に合わない

まずは医師に相談しましょう。入国時に接種が必須とされていなければ、現地での予防接種も考えられます。

 

予防接種証明書や診断書は日本語表記で問題ないか

業務渡航でのビザ申請や現地の公的機関への提出が必要な場合は、言語が指定されていることがほとんどです。指定されていない場合でも、日本語のままだと再提出を求められる可能性もあるので、クリニックを受診する前に書式は確認しましょう。

 

どのワクチンを接種すべきか教えてほしい

国別に必要なワクチンの種類や各国の感染状況については以下のウェブサイトをご覧ください。

外務省 海外安全ホームページ

厚生労働省検疫所

WHO | World Health Organization

 

どこにトラベルクリニックがあるのか分からない

日本渡航医学会が全国のトラベルクリニックを掲載しているので、こちらからお探しください。

国内トラベルクリニックリスト

 

まとめ

予防接種・トラベルクリニックの利用について解説しました。予防接種は、接種完了までの時間を考慮すると出張が決まった時点ですぐに取り掛からないと間に合わない可能性もあります。海外出張が決まったら、出入国情報を収集し必要な書類(書式)や接種が必要なワクチンを調べましょう。その次に、トラベルクリニックへ相談し接種スケジュールを組むことをおすすめします。

出入国情報について詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

次回は海外航空券の種類について解説します。

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