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経営と出張シリーズ(第1回):効率的な出張を実現するための10のKPI
投稿日:2024.05.20 / 最終更新日:2024.05.15

経営と出張シリーズ(第1回):効率的な出張を実現するための10のKPI

出張費用は、経費の60%-70%を占めると言われています。また、出張は、従業員が時間をかけて行っている業務であり、一つ一つの出張に関してしっかりと精査していく必要があるでしょう。

他方、テクノロジーの進展により出張データの取得は容易になりました。特にBTMと言われる「出張管理システム」を導入することで自動的にデータを蓄積することも可能になりました。

欧米の企業では、トラベルマネージャーという役職を設定し、出張の分析や効率化に向けた取り組みをしている企業も多くいます。それらの企業では、出張におけるKPIを設定し、随時モニタリングしています。

欧米では一般的な「トラベルマネジャー」の役割とその重要性

この記事では、出張管理におけるKPIを紹介していきます。

KPIとは

KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、「重要業績評価指標」と訳されます。KPIとは、組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標を意味し、達成状況を定点観測することで、目標達成に向けた組織のパフォーマンスの動向を把握できるようになります。

目標達成のための各プロセスにおいて、達成度合いの計測と評価をするための指標であり、最終目標の途中に設定された中間目標をモニタリングするために数値化したものと言えます。

参考:【図解】KPIとは? KGIとの違いや方法を具体例とともに簡単解説

出張管理でのKPIにおける4分野の指標

出張におけるKPIは四分野から構成されます。

  • 財務に関する指標
  • 出張の質に関する指標
  • ビジネス成果に関する指標
  • 持続可能性に関する指標

以下では、それぞれの指標について解説します。

財務に関する指標

出張管理の基本といえるのが財務指標です。総支出やコスト効率から旅費規程の遵守率など出張費用に関するあらゆるものが含まれます。財務指標を監視することで、旅行予算の管理を可能にし、自社の財務健全性を確保することが可能になります。

出張の質に関する指標

出張の品質とは、出張者の満足度を測定する指標です。特に海外出張は、従業員のプライベートな時間にも干渉するため、従業員のモチベーションやエンゲージメントへの影響度が高いです。既存の旅費規程が従業員のニーズとどの程度一致しているかなどを測定することで、従業員の全体的な満足度と生産性を監視していきます。

ビジネス成果に関する指標

ビジネス指標は、出張がもたらす投資収益性と生産性の関係を明らかにします。出張によって生み出される具体的な収益や、部門及び組織の目標への貢献度を評価することに役立ちます。

持続可能性に関する指標

企業の社会的責任がますます重視されるようになるにつれ、持続可能性の指標は不可欠なものになっていきます。出張による環境への影響を追跡し、組織が新たな規制に準拠し、持続可能性の目標を達成できるように支援します。

具体的なKPIの例

自社の出張を効果的にものにするためには、上記の4つの視点に基づき改善する必要があります。以下では、それらの視点を数値的に測定するためのKPIを紹介します。

出張ごとの費用

出張に関するKPIで最も標準的な指標の一つが出張ごとの費用です。出張ごとの費用については、年間の予算策定での活用やコスト削減の取組成果、出張費用の平準化・最適化など、様々な状況で活用することができます。

旅費規程の遵守率

旅費規程に準拠している予約数を把握することも重要です。旅費規程は、出張予算との紐づきが強く、規程内を遵守することで計画値に基づいた出張予算の達成が可能になります。また、旅費規程の遵守率を測定することで規程の適切度を確認することも可能になります。

法人割引による出張費の節約

法人割引から得られる経済的メリットを評価します。調達チームが法人割引契約を行っても利用されなければ意味はありません。法人割引の適用割合をモニタリングすることで、法人割引の交渉機能の費用対効果を測定することが可能になります。

旅行事前予約の割合

出張旅費を削減する最も効果的な方法は、早期に予約することです。各出張者が出張日の何日前に手配を行っているかを評価します。この指標によって、コスト削減効果を測定することができます。

変更、再予約、キャンセルの割合

一般的に、航空券を変更または取消する場合は、一定の費用が発生します。更に、手配のタイミングが直前になると料金も高くなります。そのため、変更、再予約、キャンセルの頻度を減らすことは、出張費用の削減に貢献します。予約変更の頻度を監視し、出張における非効率を特定し、不必要なコストを最小限に抑えましょう。

出張事故報告数

出張時の事故(トラブル)を追跡することは、注意義務遵守の鍵となります。エリアごとの発生件数などを把握することで、出張する従業員の安全とセキュリティを確保するのに役立ちます。

出張者の満足度

出張中の従業員に定期的にアンケートを実施し、満足度を測定します。彼らのフィードバックは、旅行ポリシーとプログラム全体の有効性を示す貴重な指標となります。

二酸化炭素排出量

出張による環境への影響を測定します。この KPI は、持続可能な旅行の実践を特定し、組織の環境目標と一致するために重要です。

出張予約ツールの導入率

指定した予約ツールを使用する従業員の数を測定します。指定した予約ツールを通じて手配することで出張の手配や集計業務が効率化されます。従業員が合理化された出張手配を行っているかをモニタリングし、出張予約ツールの有効性と投資収益率を確認しましょう。

承認された支払い方法の遵守

承認された支払い方法の使用状況を追跡し、ポリシーの順守と財務管理を監視します。この KPI は、不正行為を防止し、出張者への立替費用の償還プロセスを最適化するために不可欠です。

まとめ

出張管理者が企業の出張を効果的なものにするためには、上記のようなKPIを設定してモニタリングすることで、出張プログラムを継続的に改善する必要があります。また、従業員の満足度や安全性なども監視し、従業員にとっても意義のある出張を実現していくことが重要です。

それらを実現するためには、BTM(出張管理システム)の導入が有効です。従業員が手配した出張データを自動的に集計し、分析することで効率的な出張のモニタリングを実現しましょう。

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