もくじ
巨大な市場と進化し続けるテクノロジーを誇る中国は、日本のビジネスにとって欠かせないパートナーです。パンデミックを経て入国ルールは複雑化していましたが、2026年現在、日本国籍者に対するビザ免除措置が再開・延長されており、短期出張のハードルは劇的に下がっています。
一方で、現地での支払い方法やインターネット利用環境など、中国特有の「デジタル事情」への備えが、出張の成否を分ける鍵となります。まずは、主要なビジネス拠点と最新の渡航要件を確認しましょう。
中国ビジネスの拠点は、北京、上海、広州の「三大都市」に集中していますが、業種によっては深センや大連なども重要な目的地となります。
| 都市名 | 特徴 | 主要空港 |
| 上海 (Shanghai) | 中国最大の経済・金融都市。製造業や物流の拠点も多い。 | 浦東国際空港 (PVG) 虹橋国際空港 (SHA) |
| 北京 (Beijing) | 政治の中心であり、IT企業や国有企業の本社が集まる。 | 北京首都国際空港 (PEK) 北京大興国際空港 (PKX) |
| 広州・深セン (Guangzhou/Shenzhen) | 製造業の集積地。深センは「中国のシリコンバレー」と呼ばれる。 | 広州白雲国際空港 (CAN) 深セン宝安国際空港 (SZX) |
| 大連 (Dalian) | 歴史的に日本企業との関わりが深く、IT・製造業が盛ん。 | 大連周水子国際空港 (DLC) |
上海の使い分け: 国際線の多くは浦東(プードン)に到着しますが、羽田空港からは市内に近い虹橋(ホンチャオ)便もあり、台北や韓国内の移動に近い感覚で利用できます。
2026年最新の入国要件は以下の通りです。特にビザ免除の「滞在日数」が以前の15日から拡大されている点に注目してください。
中国政府の規定では「滞在日数以上」あれば入国可能とされていますが、航空会社の搭乗拒否リスクや予期せぬ延泊に備え、中国入国時に6ヶ月以上の残存有効期間がある状態で渡航することを強く推奨します。
入出国スタンプや、万が一現地でビザを申請・延長する場合に備え、見開き2ページ程度の余白を確認してください。
入国時、空港の専用端末で指紋の登録が求められます(過去に登録済みの場合や一部の年齢層を除く)。
2026年現在、中国ではモバイル決済が事実上の標準となっています。現金や海外クレジットカードが使えない店舗も多いため、出張者にはAlipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)の事前連携を徹底させる必要があります。
中国へのビジネス渡航におけるビザの扱いは、現在も頻繁に運用が変更されています。かつてのような「15日以内の無ビザ入国」が停止されていた時期を経て、現在は特定の条件下での免除措置や、指紋採取の免除といった運用の変更が頻繁に行われています。
現在、日本国籍の一般パスポート保持者に対して、短期のビジネス・観光・親族訪問などを目的としたビザ免除措置が実施されています。
30日を超える長期滞在や、現地での実労働(報酬が発生する作業など)が伴う場合は、目的に応じたビザ(査証)の取得が義務付けられています。
| ビザの種類 | 対象となる主なケース | 特徴と注意点 |
| Mビザ(業務) | 30日を超える商談、貿易活動、メンテナンス等の短期技術指導。 | 現地企業からの「招聘状(インビテーション)」が必須です。 |
| Zビザ(就労) | 中国国内の企業に雇用される場合、または長期の技術支援・駐在。 | 入国後30日以内に「外国人就業許可」と「居留許可」の手続きが必要です。 |
| Fビザ(交流) | 非営利目的の視察、講義、科学技術交流など。 | 商業活動(売買や契約)を主目的とする場合はMビザとなります。 |
| Rビザ(高度人材) | 中国が国家的に必要とする高度な専門知識を持つ人材。 | 申請のハードルは高いですが、有効期間や滞在日数で優遇があります。 |
免除期間を超える滞在や、特殊な技術指導、プロジェクト参画などの場合は、「業務(M)ビザ」を取得するのが一般的です。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 中国へ商業・貿易活動(商談、市場調査、技術指導等)を目的に渡航する方。 |
| 必要書類 | パスポート(原本)、査証申請表、写真、現地企業発行の招聘状(インビテーション)。 |
| 申請場所 | 中国ビザ申請サービスセンター(東京・大阪・名古屋等)。 |
Mビザ申請において最も重要な書類が、中国の現地受入先企業が発行する「招聘状」です。これには、渡航者の氏名・生年月日のほか、訪中の目的、日程、訪問先、費用の負担先などが明記されている必要があります。
現在、中国ビザ申請では原則として指紋採取が求められますが、期間限定で特定のビザ種(Mビザなど)の採取を免除する特別措置が取られることもあります。
中国出張を成功させるためには、個人レベルの準備だけでなく、企業としてのバックアップ体制が不可欠です。出発直前に慌てないよう、以下のチェックリストを活用してください。
企業の管理部門は、出張者が現地で安全かつ円滑に業務を遂行できるよう、環境を整える役割を担います。

飛行機が中国の空港に到着してから、入国ゲートを出るまでの基本的な流れは以下の通りです。特に「指紋採取」と「入国カードの提示」が重要なポイントとなります。
飛行機を降り、入国審査場(Immigration)へ向かう通路の途中に、青や白の自動指紋採取機が並んでいます。
2026年現在、入国カードの運用は以下の3パターンがあります。
「Foreigners(外国人)」の列に並び、審査官に以下のものを提示します。
審査官から「訪問目的」「滞在日数」「宿泊先」などを聞かれることがありますが、ビジネス渡航であれば「Business」や「Meeting」と答え、ホテルの予約確認書や招聘状を見せれば問題ありません。
審査通過後、預け荷物を受け取り税関(Customs)へ進みます。
主要都市(北京・上海・広州・深センなど)の空港から市内への移動は、以下の手段が一般的です。
| 手段 | メリット | デメリット | 決済方法 |
| 地下鉄・リニア | 渋滞がなく、料金が非常に安い。 | 荷物が多いと移動が大変。 | 交通カード・Alipay |
| タクシー | 目的地(ホテル)まで直行できる。 | 渋滞のリスク。運転手に英語が通じないことが多い。 | Alipay・WeChat Pay |
| 配車アプリ(滴滴/DiDi) | 行き先をアプリで指定でき、ぼったくりの心配がない。 | 中国の電話番号や決済アプリの設定が必要。 | アプリ内決済 |
初めての都市や荷物が多い場合は、Alipay内の「DiDi」ミニアプリを利用するのが最も確実です。行き先を漢字で入力(またはコピペ)できるため、言葉の壁を回避できます。
中国の主要空港(北京大興、上海浦東など)は、市内から距離があるケースが多いですが、公共交通機関が非常に発達しています。状況に合わせて以下の3つの手段から選択するのが効率的です。
中国出張で最も便利な移動手段です。Alipay(支付宝)内のミニアプリから利用可能です。
目的地をアプリ上で漢字入力(またはコピペ)できるため、言葉が通じなくても確実。料金が事前に確定し、ぼったくりの心配がありません。
空港には「配車アプリ専用の乗り場(網約車上車点)」が指定されています。通常のタクシー乗り場とは異なるため、アプリ内の案内図に従って移動してください。
渋滞を避け、定時性を重視する場合に最適です。
スマホ操作に不慣れな場合や、Wi-Fi接続が不安定な場合に利用します。
必ず「正規のタクシー乗り場」から乗車してください。声をかけてくる客引き(白タク)はトラブルの元です。
運転手は英語が通じないことが多いため、ホテルの名称と住所を中国語で書いたメモや画面を必ず用意しておきましょう。
「中国は物価が安い」というイメージは過去のものであり、特に上海や北京などの沿岸部では、日本と同等、あるいはそれ以上のコストがかかる場面も増えています。
現在の中国におけるホテル宿泊費や日用品、食事の物価相場を解説します。適正な出張旅費規定の策定や、現地での予算管理にお役立てください。
具体的な品目の前に、前提となる中国の物価トレンドを押さえておく必要があります。
ビジネス出張において、最も大きなウェイトを占めるのが宿泊費です。中国のホテルは、安全面や英語の通用度を考慮すると、一定のグレード以上を選ぶことが一般的です。
相場:1泊 1,500元〜2,500元(約30,000円〜50,000円)
上海や北京の中心部にある、マリオット、ヒルトン、シャングリラなどのグローバルチェーンです。
相場:1泊 600元〜1,200元(約12,000円〜24,000円)
現地の大手チェーン(Atour Hotel/亜朶酒店など)や、老舗の大型ホテルです。
相場:1泊 300元〜500元(約6,000円〜10,000円)
中国全土に展開する格安チェーン(Home Inn/如家、HanTing/漢庭など)です。
現地滞在中の経費(日当)設定の参考となる、食事や移動、日用品の相場です。「ローカルなもの」と「グローバルなもの」で価格差が激しいのが特徴です。
ビジネスランチや接待、カフェ利用の相場です。
地下鉄: 3元〜8元(約60円〜160円)非常に安価で正確ですが、朝夕のラッシュ時は非常に混雑するため、荷物がある出張時は注意が必要です。
タクシー(配車アプリDidi含む): 初乗り 14元〜16元(約280円〜320円)日本に比べて非常に安いのが特徴です。市内移動であれば、30分乗っても50元(約1,000円)程度で済むことが多く、ビジネスの足として積極的に利用できます。
海外ホテルの価格推移や平均相場が知りたい方はこちらをご覧ください。
【2026年最新】世界の主要都市ホテル相場|海外出張の宿泊費目安リスト
中国でのビジネスを円滑に進めるためには、特有の商習慣とデジタル環境への理解が不可欠です。
中国では「金盾(グレート・ファイアウォール)」により、Google、LINE、X(旧Twitter)、Facebookなどのサービスが通常は利用できません。
日本から「海外ローミング」を利用するか、中国での利用に対応した「有料VPN」を事前に契約・設定しておく必要があります。2026年現在、無料VPNはほぼ遮断されているため、ビジネス利用には信頼性の高い有料サービスが必須です。
中国ビジネスの根幹は「信頼関係(関係)」です。相手のメンツを潰さないよう、人前での直接的な批判や叱責は避け、謙虚な姿勢を保つことが重要です。
名刺は必ず両手で、相手に文字が向くように渡します。受け取った名刺をすぐに鞄にしまわず、テーブルの上に置いて相手の氏名や役職を確認する仕草を見せるのが敬意の証です。
会食は親睦を深める重要な場です。路上の屋台から高級レストランまで、ほぼすべての支払いがAlipayまたはWeChat Payで行われます。現金(元)も法的には使用可能ですが、お釣りがないと言われるケースが多いため、「モバイル決済ができない=移動も食事も困難になる」と考えて準備しておきましょう。
無事に業務を終え、日本へ帰国する際の手続きと、トラブルを避けるための法的ルールを解説します。
空港への到着は、国際線のチェックインや保安検査の混雑を考慮し、出発の3時間前が目安です。
中国では1日でも滞在期限を過ぎると「不法滞在」とみなされ、厳しい罰則が科されます。