もくじ
アイルランドは、EUのゲートウェイとして、またIT、製薬、金融分野で急速に成長しているビジネスハブです。スムーズな出張を実現するために、まずは基本的な渡航情報を確認しましょう。
アイルランドへのビジネス渡航の拠点は、以下の主要都市とその国際空港が中心となります。
| 都市 | 特徴 | 主要空港 |
| ダブリン (Dublin) | 首都であり、経済・金融・IT産業の中心地。ヨーロッパのテック企業が集積しており、主要なビジネスエリア。 | ダブリン空港 (DUB) |
| コーク (Cork) | 南部最大の都市。製薬・医療技術(メドテック)産業や金融サービスが盛んな地域。 | コーク空港 (ORK) |
| リムリック (Limerick) | 西部の主要都市。特にITと工業団地が多く、技術系企業の拠点が見られる。 | シャノン空港 (SNN) |
アイルランドはEU加盟国ですが、シェンゲン協定には参加していません。そのため、独自の入国管理制度が適用されます。企業と出張者は以下の基本事項を必ず事前に確認してください。
日本国籍の場合
90日以内の短期商用目的(会議、視察、研修、契約交渉など、報酬を伴わない活動)であれば、ビザ(査証)は免除されています。入国審査で、商用目的(Business Trip)であることを明確に伝え、滞在許可をもらいます。
ただし、就労を伴う活動(技術指導、設置作業、長期滞在を伴うプロジェクト参加など)を行う場合は、滞在期間に関わらず、目的に合った適切な就労許可/ビザの取得が必須となります。また、短期商用で入国した後、現地で報酬を受け取る行為や、本来就労ビザが必要な活動を行うことは厳しく禁じられています。
アイルランドの入国審査官は裁量権が強いため、ビザ免除の対象者であっても以下の書類の提示を求められる可能性があります。
欧州の多くの国と同様に、アイルランドも日本と短期滞在に関する査証免除協定を結んでいます。ただし、滞在の目的や期間によっては、ビザ申請や特別な許可が必要になる場合があります。ここでは、出張を目的とする日本人の渡航者が確認すべき条件を整理します。
日本国籍保持者がアイルランドに短期間(最大90日まで)滞在する場合、事前のビザ取得は不要です。
この滞在免除は観光目的だけでなく、以下のような「短期商用」活動にも適用されます。
ただし、現地での報酬を伴う業務実施や就労行為は不可です。入国時にパスポートの有効期限が滞在予定日数+6か月以上あることを求められる場合があるため、事前確認をおすすめします。
なお、入国審査で付与される滞在許可は最大90日間となり、滞在許可日数は入国審査官の判断によって決定されます。予定を超える滞在や活動を行う場合は、現地での許可申請が必要です。
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アイルランドで30日を超えて滞在する、または現地企業・支社での業務遂行・駐在を行う場合は、事前のビザ申請が必要です。主なビザの種類は次の通りです。
アイルランド国内で報酬を得て働く場合に必須。企業スポンサーによる申請が必要。Critical Skills Employment Permit/General Employment Permitなどの区分があります。
日本本社からアイルランド現地法人・グループ会社への出向や駐在に用いられる許可。マネージャー・専門職・訓練生など職種ごとに条件が異なります。
上記の就労許可と同時に、90日を超える滞在を目的とする場合に必要。入国前にオンライン申請が必須です。
これらの許可は、入国直後の登録・滞在許可証(IRP: Irish Residence Permit)発行手続きとセットで求められます。企業側も手続きのタイムライン(審査に通常2〜3か月)を考慮して、早めの準備を進めることが望まれます。
最新のビザ要件や申請手続きは、必ず以下のアイルランド政府公式情報を参照してください。制度変更や申請要件の改定が頻繁に行われます。
外務省(Department of Foreign Affairs)公式サイト
https://www.gov.ie/en/organisation/department-of-foreign-affairs
在日アイルランド大使館(東京都港区)
アイルランド出張では、入国時の審査や滞在管理の観点から、基礎的な渡航書類の確認と企業内部の出張手続き整備が欠かせません。ここでは、出張者本人と企業担当者の両方が出発前にチェックしておくべきポイントをまとめます。
アイルランド入国時には、パスポートの要件を満たしていない場合、入国を拒否される可能性があります。以下を必ず確認してください。
また、アイルランドは英国とは別の入国管理制度を採用しています。以前に英国ビザなどで入国歴がある場合でも、アイルランドへの入国には改めて有効なパスポートが必要です。
短期出張の場合でも、入国審査官から渡航目的の説明や裏付け書類の提示を求められることがあります。以下の書類をあらかじめ準備しておくと、入国審査がスムーズです。
往復航空券の予約確認書(Eチケット)
滞在期間と出国予定が明確であることを示すために必要。
宿泊予約確認書
宿泊先住所を提示するケースが多いため、ホテル予約書または社宅住所情報を持参。
勤務先の在職証明書または英文レター
出張目的・雇用関係を証明するもの。企業ロゴ入りレターヘッドで作成するのが望ましい。
現地企業・取引先からの招へい状(Invitation Letter)
会議や商談を目的とする場合に有効。日程・訪問理由・担当者名を明記。
出張行程表(Itinerary)
滞在中のスケジュールを日単位でまとめておくと説明しやすい。
長期滞在や就労を伴う場合には、上記に加えて就労許可証(Employment Permit)やビザ承認レターの提示が必要となります。
企業としては、渡航者が安全かつ法令に沿って出張できるよう、社内制度面の準備も不可欠です。以下の観点を確認しておきましょう。
出張規程の適用範囲と承認フロー
出張目的・日程・費用区分(会社負担・個人立替)を明確化。海外出張専用の承認フローを設定。
危機管理・安全管理体制
渡航先の治安・医療情報に基づくリスク評価、緊急連絡体制(日本・現地両方)を整備。
現地での滞在支援
現地法人や駐在員がいる場合は、送迎手配・宿泊サポート・緊急連絡先の共有を事前調整。
個人情報・データ管理方針
出張者データ(パスポート情報・渡航履歴など)を安全に管理し、GDPR対応も意識する。
海外出張が多い企業では、これらをチェックリスト形式や社内ポータル上で共有し、誰でも最新情報を参照できるようにしておく仕組みづくりが効果的です。

アイルランドでは、イギリスとは別の入国審査体制が運用されています。特にダブリン空港などに到着した際には、独自の入国管理官(Immigration Officer)による本人確認と滞在目的の確認が行われます。
ここでは、出張者がスムーズに入国手続きを完了するための流れと注意点を整理します。
到着後、Passport Control(入国審査)へ移動
EU/EEA市民用とその他旅客用のレーンに分かれているため、日本人は “All Other Passports” の案内に従います。
入国審査官への提示書類
パスポートのほか、必要に応じて以下の書類を求められる場合があります。
入国目的・期間の口頭確認
審査官から “What is the purpose of your visit?”(滞在目的)などの質問を受けます。
「商談のため」「会議参加のため」など、業務目的に沿った明確な説明を行うことが重要です。
入国許可スタンプの確認
問題がなければ、パスポートに入国スタンプが押されます。このスタンプの日付が滞在許可期間の起算日となります。出国日を含めて許可日数を超えないよう要注意です。
注意点
入国審査を通過した後は、到着フロアで手荷物の受け取り(Baggage Claim)と税関申告(Customs)を行います。
申告が必要な場合の代表例
商用品の持ち込みは税関で説明を求められることがあるため、出張証明レターや物品明細書を同行書類として準備しておくと安心です。
アイルランドでは、滞在日数や活動内容が入国時の説明と異なる場合、入国管理法違反(Immigration Offence)とみなされることがあります。以下の点に注意してください。
パスポートの入国スタンプに記載された期限を超えると、次回入国時に査証免除が適用されない・入国拒否されるなどのリスクがあります。予定が延びる場合は早めに滞在延長(Permission to Remain)の申請を。
短期商用(会議参加など)の目的で入国しながら、報酬を得る業務を行うと「就労行為」と判断される可能性があります。業務委託・駐在の場合は事前にEmployment Permitを取得してください。
招へい状や復路航空券が提示できず、滞在の根拠が曖昧な場合は入国拒否の対象になります。必ず英語書類を手元に用意しておきましょう。
出張者本人の責任で適正な書類を保持することはもちろん、派遣元企業側も滞在内容の透明性を担保する書面整備を行うことで、トラブルを未然に防止できます。
アイルランドの主要な空港は、ダブリン空港 (DUB)です。
ダブリン空港は、アイルランドの首都ダブリンに位置する国際空港で、国内外の多くの航空路線が運行されています。
ダブリン空港から市内の各地まで、朝の6時台から20時30分まで、約15分間隔でリムジンバスが走っています。料金は6ユーロです。また、急行バスを利用すると市内までは片道7ユーロほどで目的地へ行くことができます。(料金は変動する場合がございます。)
空港から市内までは行き先によって値段が違います。所要時間は約30分、料金は約25~30ユーロです。
滞在中の注意点(ビジネス慣行・ルール)
アイルランドのビジネス文化は、英国と似た形式を持ちつつもややカジュアルな傾向があります。
ただし、最初の商談や公式ミーティングでは、以下のようなフォーマル寄りの身だしなみと礼儀が求められます。
服装の目安
男性はスーツまたはジャケット+シャツ、ネクタイ着用が基本。女性はジャケットスタイルのオフィスカジュアルが一般的。金曜日(Casual Friday)やスタートアップ企業訪問時はジャケットなしでも問題ありません。
挨拶と名刺交換
初対面では軽い握手と目を合わせた挨拶が礼儀。名刺交換は形式的ではないが、渡す際に会社名と役職を明瞭に伝えると好印象です。
会議・時間管理
“On time” は「約束の時刻ぴったり」を意味します。遅刻は信頼度を下げるため、会場には5〜10分前に到着を。会話の中ではユーモアが重視されますが、宗教や政治の話題は避けるのが無難です。
コミュニケーションスタイル
穏やかで率直な説明が好まれ、オーバーレスポンスや過度なアピールは避けた方が良い印象を与えます。「Yes」と言っても必ずしも同意ではなく、「理解した」「検討する」という意味で使われることも多いため、確認は丁寧に行いましょう。
アイルランドはカトリックの伝統を持つ国であり、法律と社会習慣にも一定の節度が求められます。
文化的・法的なトラブルを避けるため、以下の点に注意しましょう。
飲酒に関するルール
アルコールの購入は満18歳以上。公共の場(公園・通り)での飲酒は地域条例で禁止されている場合があります。
商談の席での飲酒は控えめが基本。夜のパブでは社交の一環として軽いビール1杯程度を共にするケースが一般的です。
喫煙
屋内での喫煙は禁止されています。ホテルやレストラン、オフィスは全面禁煙が原則。喫煙エリアの標識を確認して利用しましょう。
宗教・社会的配慮
教会や宗教施設では服装・撮影マナーに要注意。信仰に関する冗談や軽率な発言はビジネスの場でも避けましょう。
法律上の留意点
薬物の所持・使用は厳重な刑罰の対象。また、交通法規(シートベルト着用・飲酒運転禁止)にも非常に厳しく、違反は業務上の信頼失墜につながる場合があります。
企業側は、出張者がトラブルや誤解を招かないよう、社内行動ガイドラインを明確にしておくことが重要です。
具体的には、以下のポイントを出発前に共有・教育しておくと安心です。
出張中の行動基準
相手企業や現地文化に敬意を払い、不必要な批判や比較的発言を避ける。SNS上での発信内容も注意を。
安全・健康管理
現地の治安情報を常に確認し、夜間の単独行動や現金大量持ち歩きを控える。
ハラスメント・差別防止
会食や商談の席での不適切な発言・行動は、現地では強く非難される対象です。国際基準を踏まえた企業研修を実施しておくことが理想的です。
費用精算・出張報告のルール
領収書や明細書を整理し、経費規定に沿った精算を徹底。異文化対応力を含めた出張レポート提出も推奨されます。
アイルランドでの出張は、相手との信頼関係を築く絶好の機会です。現地の文化を尊重する姿勢を持つことで、ビジネス成果にもつながります。
アイルランドでの出張を滞りなく終えるためには、出国時のフローと滞在期間の管理が重要です。
日本人出張者は観光・商用いずれの場合もビザ免除の恩恵を受けますが、滞在期間の超過(オーバーステイ)は将来的な入国制限につながる可能性があります。以下のポイントを出発前に確認しておきましょう。
アイルランドの主要空港(ダブリン空港など)では、EU域外旅客向けの出国審査が実施されています。
混雑時はセキュリティチェックに時間を要するため、国際線出発の少なくとも3時間前には空港に到着しておくことをおすすめします。
チェックイン・手荷物預け
航空会社カウンターでパスポートとEチケットを提示し、搭乗券を受け取ります。オンラインチェックインを済ませておくとスムーズです。
手荷物検査・セキュリティチェック
ノートPC・液体類の取り出しが求められる場合があります。
パスポートコントロール(出国審査)
入国スタンプの有効期間内であるかを確認されます。問題がなければスタンプが押され、出国許可となります。
搭乗ゲートへ移動
ターミナルが広いため、搭乗口の変更や移動時間に余裕を見て行動しましょう。
アイルランドでは、滞在許可期間を1日でも超過すると「オーバーステイ(滞在超過)」として扱われる可能性があります。
特に、入国時にスタンプで許可された期間(多くの場合90日)を超えると、以下のような影響が生じます。
罰金・記録登録
不法滞在として記録され、罰金が科される場合があります。初回であっても審査官の裁量により警告処分を受けるケースがあります。
次回入国時のリスク
パスポート履歴にオーバーステイの記録が残ると、次回以降の入国拒否や審査強化の対象となる可能性があります。
ビザ免除プログラム利用停止
再入国時に短期ビザ(Cビザ)の申請を求められることがあり、渡航計画に大きく影響します。
一度オーバーステイが発生すると、企業側の信頼にも関わるため、出張者・人事担当者ともに滞在期限をカレンダーで管理することが重要です。
出張の延長や現地業務の継続が必要になる場合は、入国許可期限を過ぎる前に必ず当局または専門家へ相談しましょう。
延長理由を明確に整理
会議・工場視察・契約業務などの具体的理由を英文で文書化しておくと、申請時に有効です。
管轄機関への相談先
ダブリン滞在の場合:Burgh Quay Registration Office(INIS)
地方都市滞在の場合:地元Garda(警察)移民担当窓口
手続きの目安期間
延長申請には通常数週間を要します。予定変更が判明した時点で、少なくとも2〜3週間前には相談しましょう。
出張スケジュールは変更がつきものであるため、期限を「安全マージン付き」で管理する体制づくりが望ましいです。オーバーステイを未然に防ぐことは、個人だけでなく企業としての信頼保持にもつながります。
住所: 〒102-0083 東京都千代田区麹町2丁目10-7 アイルランドハウス 5F
住所:Nutley Building, Merrion Centre, Nutley Lane, Dublin 4, D04 RP73