もくじ
広大な国土と豊富な地下資源を持つモンゴルは、日本にとって「第3の隣国」とも呼ばれる重要な経済パートナーです。近年は首都ウランバートルを中心に都市開発が進み、ビジネス拠点としてのインフラ整備も急速に進んでいます。
モンゴル出張を成功させるためには、気候による交通への影響や、独特のビザ運用ルールを事前に正しく把握し、余裕を持ったスケジュールを組むことが不可欠です。
モンゴルへのビジネス渡航では、ビジネス拠点は、実質的に首都ウランバートル一極となります。
主要都市:ウランバートル (Ulaanbaatar)
政治・経済・金融のすべてが集中する一極集中型の都市です。外資系企業や政府機関のほとんどが市内の中心部にオフィスを構えています。
利用空港:チンギスハーン国際空港 (UBN)
2021年に開港した新しい国際空港です。日本の円借款によって建設された「新ウランバートル国際空港」としても知られています。市街地から南西に約50km離れた場所に位置しています。旧空港よりも設備が大幅に近代化され、ビジネスラウンジ等の利便性も向上しています。
モンゴルは日本国籍者に対して非常に寛容な入国政策をとっていますが、出張管理者が特に注意すべきは「パスポートの有効期限」と「滞在日数」の管理です。
30日以内の短期出張
日本国籍のパスポート保持者であれば、渡航目的にかかわらず30日以内の滞在はビザ不要です。商談、会議、市場調査などの一般的な出張であれば、事前の手続きなしで入国可能です。
31日以上の滞在・就労
31日を超える長期滞在や、現地で報酬を得る就労活動を行う場合は、事前に駐日モンゴル大使館等で適切なビザを取得する必要があります。
モンゴル入国時に、パスポートの有効期限が6ヶ月以上残っている必要があります。これに満たない場合、日本国内の航空会社カウンターで搭乗を拒否される事例が多数報告されているため、管理者は出張者のパスポートを必ず事前に確認してください。
入国・出国スタンプを押すための余白が、見開きで2ページ以上あることが推奨されます。
ビザなし(30日以内)で入国する場合、入国審査で「モンゴルから出国することを証明する書類(Eチケット控え等)」の提示を求められることがあります。必ず印刷またはデジタルで即座に提示できるようにしておきましょう。
モンゴルと日本は、ビジネスの往来を促進するため、ビザ免除措置を積極的に運用しています。しかし、滞在期間や活動内容によっては、事前のオンライン申請や外国人登録が必要になるため注意が必要です。
日本国籍のパスポートを保持している場合、30日以内の滞在であれば、事前のビザ取得は不要です。
注意:入国日を1日目としてカウントします。また、この「30日」は「観光・商用」の枠組みであるため、現地で報酬を得る就労活動(エンジニアの保守作業や建設現場での実務など)を行う場合は、日数を問わず就労ビザが必要になるケースがあります。
31日以上の滞在が見込まれる場合や、現地での就労を目的とする場合は、事前に適切なビザを申請・取得する必要があります。
| ビザの種類 | 対象・概要 |
|---|---|
| 観光・商用ビザ (31日〜90日) | 30日を超える商談や調査が必要な場合。通常は30日までのビザを現地入国管理局で延長(最大30日間)するか、事前に長期ビザを取得します。 |
| 就労ビザ (Category HG) | 0日間)するか、事前に長期ビザを取得します。 就労ビザ (Category HG) モンゴル国内の法人と雇用契約を結び、現地で働く場合に必要。労働局からの許可証(クォータ)の取得が必要です。 |
| ビジネス投資家ビザ (Category T) | モンゴル国内に投資を行う企業の経営者や役員向け。 |
ビザの規定や必要書類は、現地の情勢や政策により急に変更されることがあります。最新情報は必ず以下の公式窓口で確認してください。
日本国内でのビザ申請や公的書類の認証を行うメインの窓口です。
西日本エリアにお住まい・勤務の方はこちらが管轄となります。
現地での滞在延長や外国人登録に関する最新ルールを確認できる英語・モンゴル語の公式サイトです。
モンゴル出張を円滑に進めるためには、入国要件の確認だけでなく、現地の厳しい自然環境や通信事情を考慮した準備が欠かせません。
まず、出張者のパスポートが以下の条件を満たしているか、人事・総務担当者は必ず確認してください。
モンゴル入国時には「6ヶ月以上」の有効期間が必要です。30日以内のビザ免除対象であっても、期限が不足していると日本国内の空港で搭乗を拒否されるケースが多発しています。
査証(スタンプ)欄に十分な余白が必要です。
2026年現在、日本国籍者は30日以内の滞在であればビザ不要ですが、これはあくまで「報酬を伴わない商談・観光・調査」が対象です。現地で「作業」や「役務の提供」を行う場合は、事前に適切なビザが必要になる可能性があるため、法務部門と連携のうえ確認することを推奨します。
入国審査時に、不法滞在や就労を疑われないよう、以下の書類を英語またはモンゴル語で準備(印刷およびデジタル保存)しておくことを推奨します。
管理部門は、モンゴル特有のリスクに応じた体制構築が必要です。
冬のウランバートルはマイナス30度以下になることがあり、移動には専用車のチャーターやタクシー利用が不可欠です。徒歩移動を前提としない旅費規程の運用や、極暖対応の防寒具に関する規定を確認してください。
冬期は石炭燃焼による深刻な大気汚染が発生します。高性能マスク(N95等)の支給や、呼吸器系に持病がある社員への配慮など、危機管理上の対策を徹底してください。
現地での連絡手段として、法人用Wi-FiレンタルやeSIMの利用環境を確認します。モンゴルは電子決済(QPayなど)が普及しているため、ネット環境の遮断は業務に直結します。

2021年に開港した「新チンギスハーン国際空港(UBN)」は、日本の支援で建設されたこともあり、日本人に馴染みやすい機能的な設計となっています。降機から市街地へ向かうまでの流れを確認しましょう。
降機後、「Arrivals / Passport Control」の表示に従って進みます。
日本国籍者は30日以内のビザ免除(査証免除)対象です。審査官にパスポートを提示する際、稀に滞在目的や期間、宿泊先を英語で聞かれることがあります。
最新の自動化ゲートも導入されていますが、初回入国時やビザ免除適用の場合は、スタンプの確実な押印(出張証明や経理処理のため)が必要になるため、有人カウンターの利用が推奨されるケースもあります。
入国審査を終えたら、手荷物受取所(Baggage Claim)で荷物をピックアップし、税関(Customs)へ進みます。
500万トゥグルグ(または同等の外貨:約23〜25万円相当)以上の現金を所持して入国する場合は、必ず税関申告が必要です。無申告で発見された場合、没収や罰金の対象となるため、ビジネス用の予備資金を持ち込む際は注意してください。
測量用ドローンや高額な放送機材などを持ち込む場合、事前に許可証が必要になる、あるいは一時輸入の申告を求められることがあります。
酒類(1リットルまで)、タバコ(200本まで)などの制限があります。ビジネスギフト(手土産)を持ち込む際も、過度な数量にならないよう配慮が必要です。
モンゴル当局は、外国人の滞在管理において「日数」を非常に厳格にカウントします。
日本人はビザなしで30日間滞在できますが、入国日を「1日目」として計算します。31日目に入ると、出国時に空港で足止めされ、罰金の支払いが終わるまで搭乗できないトラブルが発生します。
「商談」目的のビザ免除で入国しながら、実際には建設現場で「実務(作業)」を行っているとみなされた場合、不法就労として身柄拘束や強制送還の対象になるリスクがあります。活動内容に不安がある場合は、事前に大使館へ確認することが鉄則です。
モンゴル国内では、外国人は常にパスポート(またはそのコピー)を携帯する義務があります。街中の検問や公共機関での提示を求められた際に提示できないと、警察署での確認を求められる場合があります。
新チンギスハーン国際空港(UBN)は、ウランバートル市街地から約50km離れた場所に位置しています。移動時間は、時間帯によって1時間から2時間半以上と大きく変動するため、移動手段の選択が重要です。
特徴: モンゴル出張者の「必須ツール」です。料金が事前にアプリ上で確定し、行き先を地図で指定できるため、モンゴル語が話せなくても正確に目的地へ着けます。
利用方法: 空港のフリーWi-Fiを利用して呼び出すことが可能ですが、あらかじめ日本でアプリをダウンロードし、SMS認証を済ませておくことを強く推奨します。
到着ロビーの専用カウンターで申し込む定額制のタクシーです。白タク(非正規タクシー)を利用してしまうリスクがなく、領収書の発行もスムーズなため、ビジネス利用に適しています。
市内主要ポイント(国営百貨店、主要ホテルなど)を結ぶ大型バスです。最も安価ですが、運行本数が限られており、市内到着後の最終目的地への移動が別途必要になります。
2026年現在、空港と市内を結ぶメトロや鉄道は存在しません。 移動はすべて道路(車)経由となります。
ウランバートル市内の渋滞は世界的に見ても深刻です。特に朝夕のラッシュアワーは「ほとんど動かなくなる時間帯」時間帯があることを計算に入れてください。
| 移動手段 | 料金目安(ダウンタウンまで) | 所要時間 | 備考 |
| タクシー | 約100,000 ~ 120,000 MNT (約4,500〜5,500円) | 60分 ~ 120分 | 定額制で安心 |
| UB Cab | 約80,000 ~ 100,000 MNT (約3,600〜4,500円) | 60分 ~ 120分 | 需給により変動あり |
| シャトルバス | 約30,000 MNT (約1,400円) | 90分 ~ 150分 | 運行間隔に注意 |
深夜(23時以降)に到着するフライトを利用する場合、以下の2点に注意してください。
モンゴルのビジネス文化は、伝統的な「信頼関係の重視」と、急速に進む「デジタル化・効率化」が混ざり合っています。特にウランバートル市内での行動には、日本とは異なるルールが存在します。
モンゴルでは、相手の「外見」や「肩書き」から受ける敬意を重視する傾向があります。
基本はスーツにネクタイ: 2026年現在も、公式な商談や政府機関への訪問では、ダーク系のスーツとネクタイの着用が標準です。
冬期の防寒対策: 屋外はマイナス30度以下になりますが、室内はセントラルヒーティングで20度以上に保たれています。厚手のコートの下に、脱ぎ着しやすいジャケットスタイルを心がけましょう。
「右手」の原則: 伝統的に「右手(または両手)」で物を受け渡しするのが最大の礼儀です。名刺、資料、贈り物などを渡す際は、必ず右手を使うか、右手の肘を左手で支える仕草を添えると、非常に深い敬意が伝わります。
信頼関係(スモールトーク)を優先: 本題に入る前に、相手の家族や健康、モンゴルの印象について話す時間が重要視されます。急いで契約の話を進めるよりも、まずは「信頼できる人間か」を見せる姿勢が成功の鍵です。
モンゴルには、飲酒や喫煙に関する厳格な法律があり、違反すると高額な罰金が科せられます。
禁煙: 路上、公園、レストランの屋内など、公共の場所での喫煙は法律で厳しく制限されています。必ず指定の喫煙所を探してください。
飲酒: 公共の場での飲酒は禁止です。また、毎月1日は「禁酒日」として、市内すべての店舗でアルコールの販売・提供が停止されます(2026年現在も継続中)。
モンゴルでは飲酒に起因するトラブルが少なくありません。夜間、酔った人が多いエリアには近づかない、絡まれても無視するといった基本的な護身が重要です。
政府機関、軍事施設、空港の検問所、寺院の内部などは撮影禁止です。不用意にカメラを向けると、身柄を拘束される恐れがあります。
出張管理者は、社員が安全に業務を遂行できるよう、以下のガイドラインを周知してください。
流しのタクシー(白タク)は強盗や料金トラブルのリスクがあるため、原則として法人契約の配車アプリ「UB Cab」または公式タクシーのみを利用するよう指示してください。
11月〜3月のウランバートルは、石炭暖房による深刻な大気汚染が発生します。PM2.5対応の高性能マスク(N95等)の携行を必須とし、屋外での長時間の活動は控えるよう指導してください。
国営百貨店やザハ(市場)周辺では、外国人ビジネスマンを狙った組織的なスリが多発しています。財布は後ろポケットに入れない、バッグは体の前に持つといった基本ルールを共有しましょう。
モンゴル出張の最後をスムーズに終えるためには、余裕を持った空港到着と、滞在期限の厳密な管理が不可欠です。
新チンギスハーン国際空港(UBN)は、近代的な設備により出国手続き自体は非常にスムーズです。
日本国籍者は、パスポートと搭乗券を提示します。30日以内のビザ免除滞在であれば、入国時のスタンプを確認されるのみで数分で完了します。
31日以上の滞在で「外国人登録」を行っていた場合は、出国審査時に登録カードを返却する必要があります。
出発の3時間前までの到着を強く推奨します。空港からウランバートル市内までは約50km離れており、時間帯によっては想像を絶する渋滞が発生します。また、空港内での免税品手続きや、冬期の機体除氷作業(ディアイシング)による手続きの混雑を考慮する必要があります。
モンゴル当局は、1日でも期限を過ぎた滞在(オーバーステイ)に対して一切の妥協をしません。
オーバーステイ1日につき、一定の罰金(Law on Infringementに基づく)が科せられます。以前は1日約4ドル程度でしたが、現在はより厳格化されており、数千円〜数万円単位の支払いと行政手続きが必要になる場合があります。
罰金の支払いは空港でも可能ですが、審査官とのやり取りや支払い手続きに時間を要し、予約していたフライトに間に合わなくなるケースが多発しています。
悪質なオーバーステイや、罰金の未払いは、将来的な入国禁止(ブラックリスト登録)の原因となります。一度記録がつくと、次回の商談での入国が拒否される恐れがあり、企業の信用問題にも関わります。
プロジェクトの遅延などで、当初の予定(30日)を超えて滞在する可能性がある場合は、早急に以下の対応をとってください。
滞在延長の申請は、現在の滞在期限が切れる少なくとも4〜5営業日前までに入国管理局(Immigration Agency)へ行う必要があります。期限当日の相談は受け付けられないことが多いため注意してください。
受入先企業(モンゴル側パートナー)からの公式な延長要請レターや、理由書、手数料の支払い証明が必要です。
2026年現在、モンゴル入国管理局のポータルサイト(E-Immigration)からオンラインで延長申請が可能なケースが増えています。しかし、システムエラーや承認待ちのリスクを考慮し、現地の総務担当者や専門のエージェントに早期相談することを推奨します。
モンゴルの入国規則やビザ運用は、現地の政策により予告なく変更されることがあります。渡航前には必ず以下の公式サイトで最新状況を確認してください。