もくじ
シンガポールは東南アジアの金融・物流のハブであり、アジア展開を狙う日本企業にとって最重要拠点の一つです。デジタル化が極めて進んでおり、インフラが整備されているため、海外出張が初めての方でも比較的活動しやすい国といえます。
ただし、「罰金大国」と称されるほど公共のルールに厳格であるほか、入国手続きが100%デジタル化されているため、事前のオンライン準備を怠ると搭乗や入国ができないリスクがあります。円滑なビジネス遂行のためには、最新のデジタルルールを正確に把握しておくことが不可欠です。
シンガポールは都市国家であるため、「都市間の移動」という概念はなく、島全体がひとつの経済圏として機能しています。
「世界最高の空港」として評価されるアジアの巨大ハブ空港です。2024年以降、入国審査の自動ゲート化が全ターミナルで進んでいます。シンガポール国民だけでなく、日本を含む対象国の短期滞在者も自動ゲートが利用可能になり、入国の大幅な時短が実現しています。
シンガポール入国時に「空港で足止め」を食らわないよう、管理者は以下の4点を必ずチェックリストに含めてください。
| 項目 | 確認事項 |
| パスポートの残存期間 | 入国時に「6ヶ月以上」の有効期限が必要です。1日でも足りないと、日本国内のチェックインカウンターで搭乗を拒否されます。 |
| SG Arrival Card(SGAC) | 入国3日前(到着日を含む)からのオンライン申請が必須です。紙の入国カードは完全に廃止されており、未登録だと入国審査場に進めません。 |
| ビザの要否 | 日本国籍者が30日以内の観光・商用(会議・商談)で入国する場合、ビザは不要です。ただし、現地での「実労働」を伴う場合は、期間に関わらず就労許可が必要です。 |
| 帰路の航空券 | シンガポールから出国するための予約済み航空券を所持していることが条件となります。 |
2025年現在、シンガポールへの入国には専用アプリ「MyICA」や公式サイトからの「SG Arrival Card(健康申告含む)」の登録がすべての入国者に義務付けられています。偽サイトで高額な手数料を請求される事例も発生しているため、必ず政府公式サイトから手続きを行うよう、社員への周知を徹底してください。
シンガポールへのビジネス渡航では、滞在日数や現地での活動内容によって必要な手続きが異なります。特に2025年以降、就労ビザの取得難易度が高まっているため、正しい区分の把握が重要です。
シンガポール入国・ビザ/SGアライバルカード完全ガイド【2025年版】
日本国籍者が30日以内の短期間、以下の目的でシンガポールに滞在する場合、事前にビザを取得する必要はありません(ビザ免除)。
対象となる活動: 商談、会議、市場調査、セミナー・ワークショップへの参加、展示会の視察など。
滞在許可日数: 入国審査時にパスポートに押されるスタンプ(または電子通知)により、通常30日間の滞在が許可されます。
条件:
【注意】無査証(ビザなし)で禁止されている活動
短期滞在であっても、現地で「報酬を伴う実労働」や「機器の設置・修理作業」などを行う場合は、原則として就労許可が必要です。判断が難しい場合は、事前に現地の受入先や専門家へ確認することをお勧めします。
30日を超える滞在や、現地法人に所属して働く場合は、適切な就労パス(Work Pass)の取得が義務付けられています。2025年1月より、最低月額給与の基準が改定されました。
シンガポールのビザ制度は、現地の労働需給に合わせて頻繁にアップデートされます。必ず以下の公式サイトで最新情報を確認してください。
シンガポール人材開発省 (MOM: Ministry of Manpower)
就労ビザ(EP/S Pass等)の条件、給与基準、COMPASS制度の詳細を確認する際の一次情報源です。
シンガポール入国管理局 (ICA: Immigration & Checkpoints Authority)
SG Arrival Cardの登録や、入国全般に関するルールを確認する窓口です。
駐日シンガポール共和国大使館
日本国内でのビザ申請手続きや公証に関する案内を確認できます。
シンガポール出張を成功させるためには、航空券の手配だけでなく、デジタル申請と「ビジネス目的」を裏付ける書類の準備が重要です。
シンガポールは入国管理が非常に効率化されていますが、基本要件を満たしていない場合は搭乗口で拒否されるケースがあります。
有効期間: シンガポール入国時に「6ヶ月以上」の有効期間が必要です。期限が1年を切っている場合は、出張中のトラブル回避のためにも更新を推奨してください。
空白ページ: 査証欄の余白は「2ページ以上」が推奨されます。現在、シンガポール入国時にパスポートへのスタンプ押印は廃止され、メールで「e-Pass(滞在許可通知)」が届く仕組みですが、経由国や今後の他国への出張を考慮し、余白の確保は依然として重要です。
入国審査官から「何のために来たのか」と問われた際、即座に提示できる書類(英語)を準備しておくとスムーズです。
到着日の3日前以内に登録し、発行されるバーコードをスマホに保存、または印刷して持参。
30日以内のビザ免除入国の場合、出国する意思を示す航空券の提示を求められることがあります。
SGAC登録時にも滞在先の入力が必要です。住所と電話番号を控えておきましょう。
シンガポールの現地法人や取引先から発行されたもの。特に頻繁に渡航する場合や、長期滞在時には有効です。
日本の会社に所属し、出張として来ていることを証明する書類(英語)。「実労働」を疑われた際の備えとなります。
管理者は、出張者の安全とコンプライアンスを守るための「守り」の準備を徹底してください。
現地法人、宿泊先、日本本社、および外務省「たびレジ」への登録状況の確認。
シンガポールはコンタクトレス決済(Visa/Mastercard等のタッチ決済)が主流です。法人カードの利用可否や、配車アプリ(Grab)の経費精算ルールの確認が必要です。
チューインガムの持ち込み禁止や、公共の場での喫煙・ゴミ捨てに対する高額な罰金など、シンガポール特有のルールを社員にリマインドしてください。

チャンギ国際空港に到着したら、まずは入国審査場(Immigration)を目指します。シンガポールではデジタル化が進んでおり、入国審査は「駅の改札」のようなスムーズさで進行します。
2025年現在、日本国籍者はすべてのターミナルで自動化ゲート(Automated Lanes)の利用が可能です。チャンギ空港に到着してから「自動ゲートが開かない」トラブルの多くは、SG Arrival Card(SGAC)の登録漏れが原因です。必ず日本出発前(到着の3日前から登録可能)に完了させておいてください。
入国審査を終えたら、預け荷物をピックアップして税関(Customs)へ進みます。
合計20,000シンガポールドル(約220万円)相当額以上の現金、小切手、またはその他の無記名譲渡可能証券を持ち込む場合は、到着時に申告が必要です。
商談用の製品サンプルや機材を持ち込む場合、商業価値があるとみなされるとGST(消費税)の対象となります。カルネ(ATA Carnet)を利用している場合は、赤い「Goods to Declare」レーンで手続きを行ってください。
チューインガム: 持ち込み自体が禁止されています。
タバコ・電子タバコ: タバコは1本から課税対象であり、電子タバコ・加熱式タバコは所持しているだけで違法(没収および罰金)となります。
コンプライアンスを重視するビジネス渡航において、以下のリスク管理は必須です。
自動ゲート通過時にスタンプが押されないため、滞在期限を忘れがちです。e-Passメールに記載された期限を必ずカレンダーに登録し、オーバーステイを徹底して避けてください。シンガポールのオーバーステイは罰金だけでなく、将来の入国禁止や拘留の対象となります。
観光ビザ(ビザ免除)での入国で認められるのは「会議、商談、視察、展示会参加」までです。現地で「機器の修理作業」や「プログラミング等の実労働」を行うと、不法就労とみなされるリスクがあります。
隣国ジョホールバル(マレーシア)等への頻繁な往復を繰り返すと、実質的な長期滞在を疑われ、入国審査官から厳しい追及を受けることがあります。
シンガポール・チャンギ国際空港は、市内中心部から東へ約20kmに位置しており、世界屈指の効率的な交通網で結ばれています。ビジネス出張者のスケジュールや目的地に合わせて、最適な手段を選択しましょう。
シンガポールではデジタル決済が標準化されており、公共交通機関から配車アプリまで極めてスムーズに利用可能です。
ターミナル2および3の地下にある「Changi Airport駅」から乗車可能です。市内中心部へは「East West Line(緑のライン)」を利用します。2025年現在、専用の交通カード(EZ-Link)を購入しなくても、お手持ちのクレジットカードのタッチ決済(Visa/Mastercard等)やApple Pay/Google Payでそのまま改札を通過できます。
各ターミナルの到着ロビーにある指定の乗り場から24時間利用可能です。シンガポールのタクシーは原則としてメーター制で、信頼性が非常に高いです。空港発の場合は空港通行料(Airport Surcharge)が加算されます。
東南アジア最大の配車アプリ「Grab」、および「Gojek」が主流です。ターミナルごとに専用の「Ride-hail Pick-up point」が設置されています。事前に料金が確定し、登録済みのクレジットカードで自動決済されるため、領収書管理が容易なビジネスマンに最も推奨される手段です。
シンガポールは「ビジネスのしやすさ」で世界トップクラスですが、独自の商習慣や厳格な法律(Fine City:罰金都市)への理解が、現地での信頼関係とリスク管理の要となります。
高温多湿な気候と、多様な文化的背景に配慮した振る舞いが求められます。
服装: 基本: 長袖シャツにスラックスの「ビジネスカジュアル」が一般的です。外気は暑い一方、室内(オフィスや会議室)は冷房が非常に強いため、ジャケットや羽織りものは必須です。
フォーマル: 初対面の商談や高級ホテルでの会食では、ネクタイ・ジャケットを着用するのが無難です。
名刺交換: 日本と同様、両手で差し出し、両手で受け取るのがマナーです。受け取った後はすぐにしまわず、会議中はテーブルの上に並べておきます。
コミュニケーション: 時間厳守: 5分前到着が理想です。遅刻は信頼を著しく損ないます。
言語: 英語(シングリッシュ含む)が共通言語ですが、相手のルーツ(中国系、マレー系、インド系)に合わせた配慮が喜ばれます。挨拶は握手が基本ですが、マレー系の女性など宗教上の理由で握手を控える方もいるため、相手の出方に合わせるのがスマートです。
2025年現在、特に法執行が強化されている項目に注意してください。
飲酒制限: 公共の場所(公園や路上など)での飲酒は、夜10時30分から翌朝7時まで禁止されています。小売店での酒類販売もこの時間帯は停止されます。
喫煙と電子タバコ(重要)
公共交通機関(MRT/バス)での飲食: 車内および駅構内での飲食は一切禁止です。アメを舐める、水を飲む行為も罰金の対象となる可能性があるため控えましょう。もちろん、強烈な臭いを放つドリアンの持ち込みも禁止されています。
トラブルを未然に防ぐため、管理者は以下の「シンガポール・ルール」を社内で周知してください。
シンガポールからの出国は、世界で最もデジタル化されたスムーズなプロセスとなっています。しかし、スタンプ(物理的な記録)が残らないシステムだからこそ、滞在期限の自己管理が極めて重要です。
2025年現在、チャンギ空港の全ターミナルで「パスポートレス出国」が完全に運用されています。
自動ゲートへ: 日本国籍の渡航者は、出国審査時にパスポートを提示する必要がありません(※航空会社のチェックイン時には必要です)。
生体認証のみで通過: ゲートで顔認証と虹彩(アイリス)認証を行うだけで、数秒で通過可能です。
e-Passの確認: 入国時にメールで届いた「e-Pass(電子訪問パス)」の控えを確認する必要はありませんが、システム上は入国時のデータと紐付けられて自動的に出国が記録されます。
出発の3時間前を推奨します。出国審査自体は10秒程度で終わりますが、チャンギ空港は「ジュエル」などの商業施設が充実しているほか、手荷物検査が搭乗ゲート直前で行われるターミナルが多く、ゲートへの移動に時間がかかるためです。
シンガポールは不法滞在に対して「ゼロ・トレランス(一切容認しない)」の姿勢をとっています。
90日以内の超過: 最大4,000SGD(約45万円)の罰金、または最長6ヶ月の禁錮刑が科される可能性があります。
90日を超える超過: 禁錮刑に加え、「鞭打ち刑(3回以上)」が義務付けられています(※50歳以上の男性、および女性は罰金に振替)。
再入国への影響: わずか1日の超過であっても、デジタル記録に永久に残り、次回のビザ免除入国や就労ビザ(EP)の申請が非常に困難になります。2025年現在、AIによる不審者検知システムが強化されており、過去の軽微な違反も即座にフラグが立てられます。
ビジネスの進捗により、予定していた30日間の滞在(Visit Pass)では足りなくなる場合があります。その際は、期限が切れる1週間前までに以下の対応を行ってください。